犬の手作りご飯に卵は使ってもいい?卵の白身が下痢の原因になることも…

よくある卵のキャッチフレーズに、「食物繊維とビタミンC以外の栄養素をすべて含んでいる完全栄養食品」というのがありますよね。
実際のところ、炭水化物はそれほど含まれていませんが、タンパク質と脂質の含有量が程よく、さらにはビタミンとミネラルが豊富に含まれていることは間違いありません。となると、犬にとっても理想的な食品の一つのようにも思えますが……。
実は、愛犬の食事に卵をよく使うようになったら、だんだん軟便になってきた、という報告があります。
目次
愛犬に卵を食べさせていくうちに、だんだんウンチが柔らかくなる!?
もしも卵が有精卵だったとしたら、そのまま成長すればニワトリが誕生します。卵はまさしく生命そのものなんですよね。
卵に含まれている栄養成分をざっと挙げてみると、タンパク質・脂質・ビタミンA・B2・B6・B12・D・E・葉酸・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛などなど…。
さらにはコリンやオメガ6脂肪酸なども含まれており、犬の手作りご飯の動物性タンパク質は、いっそのこと卵一択でいいのではないかと思いたくなるほどの、見事な栄養成分のラインナップです。
(※コリン:循環器・脳機能・細胞膜の浸透圧調整と脂肪代謝に作用するビタミンB群の一種)
ところがどういうわけか、愛犬のご飯に卵を恒常的に使っていると、下痢や軟便などお腹が緩みがちになることがあります。
>『愛犬が軟便をし始めたら食事の見直しのサインです』を併せてご覧ください。

犬が卵を食べると下痢や軟便をする理由
犬が卵を食べると下痢や軟便をする原因の物質は、一つではありません。意外にも栄養ラインナップに含めたくなるような成分が、犬の下痢や軟便に関わっています。
犬の下痢の原因1:白身に含まれているオボムコイド
栄養学を勉強している人でなければ、オボムコイドと聞いて「あぁ、あれね」とすぐにはピンときませんよね。
オボムコイドは卵に含まれている耐熱性卵タンパクの一種です。簡単に言ってしまえば卵アレルギーの原因物質の一つで、消化酵素阻害剤とも呼ばれています。
オボムコイドが厄介なのは、加熱しても性質が変わらないことです。消化酵素は50℃を超えると活性が失われていくのに対し、オボムコイドはそのままなんですね。
つまり、生だろうが加熱だろうが、卵のオボムコイドが犬のお腹に悪さをする可能性は残されてしまうわけです。
犬の下痢の原因2:白身に含まれているリゾチーム
リゾチームとは、卵白に含まれている酵素の一種です。リゾチームは強固な構造が特徴で、いろいろな細菌を死滅させる溶菌作用に優れています。
犬が卵を食べてリゾチームを摂取すると、胃の中では消化されず腸まで到達することに。すると腸内の善玉菌に作用してしまうため、下痢や軟便を引き起こす原因になるのです。
犬の下痢の原因3:脂質
脂質は栄養成分のラインナップに含まれているじゃないか!と思われたかもしれません。
脂質がダイレクトに犬の下痢の原因になるわけではありませんが、要は含まれている量がそれなりに多いことが仇となるケースがあります。
特に膵臓疾患・胆のう疾患・脂質代謝異常が疑われる犬は要注意!摂取した脂肪を正常に処理できず、下痢や軟便の原因になることがあります。
犬の下痢の原因4:コリン
ゴリンは脳機能の神経系や細胞膜の合成と補修に欠かせない、重要なビタミンB群の一種です。しかし、摂取し過ぎると下痢や軟便の原因になることでも知られています。
(コリンが下痢や軟便を引き起こすメカニズムはちょっとややこしいので、ここでは割愛)
犬の下痢の改善についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
>『犬の下痢は解毒作用!効かない下痢止めより腸を温める方が回復の早道』

犬の食事に卵を加える場合、アビジンのビオチン吸収阻害作用は心配しなくてOK
犬に卵を食べさせると下痢や軟便の原因になるのは、もしかして白身に含まれているアビジンがビオチン吸収を阻害するから?と思われたかもしれません。
ところが、意外にも犬の食事に卵を使う場合、アビジンの影響はあまり考えなくても大丈夫です。
確かに犬がアビジンを長期間摂取し続けると、ビオチン欠乏症の末期症状で下痢をすることは判明しています。しかし、犬の体内では腸内細菌によってビオチンを合成できますし、卵黄にはアビジンに対抗できるだけのビオチンが含まれてもいます。
そもそも、アビジンは熱に弱くビオチンは熱に強いため、よほどの長期間生のまま卵の白身を食べさせない限り、犬がビオチン不足で下痢をすることはまずありません。
というわけで、犬に卵を食べさせると下痢や軟便をすることはありますが、その原因は白身に含まれているアビジンの可能性は低いと言えるでしょう。
食物不耐性や食物アレルギーの可能性も無視できない
犬の食事に卵を加えるとしたら、どんなに栄養満点の食品だとしても、やはり食物不耐性や食物アレルギーの可能性を無視するわけにはいきません。
特に、もともとお腹の弱い犬は卵を消化する能力自体が低下している可能性があり、卵が引き金となって軟便や下痢をすることがあります。老犬も加齢の影響で消化機能が衰えているため、卵がお腹を緩ませてしまうかもしれません。
また、あえて言うまでもありませんが、卵アレルギーのある犬が卵を食べてしまうと、軟便や下痢に加えて嘔吐や皮膚の痒みなどの症状に襲われることになるでしょう。
ただし、卵アレルギーは初めて卵を食べた時に症状が出るわけではありません。ある程度の量を食べた後に症状が出てくることがほとんどのため、卵にアレルギーがあってもすぐにはわからないから厄介です。
そう考えると、やはり犬にはあまり卵を食べさせないほうが無難ではないでしょうか。
犬の下痢とアレルギーについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
>『犬に下痢・嘔吐を引き起こす「食物アレルギー」と「食物不耐症」の違い』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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