慢性腎臓病の愛犬を長生きさせたい!腎臓をいたわる食事のポイント

犬は雑食動物ですが、消化器の作りはどちらかといえば肉食獣に寄っています。だからこそ、犬にとって最も重要な栄養素はタンパク質なんですよね。
それも、植物性ではなく動物性のタンパク質を必要としています。というのも、植物性タンパク質では犬の必須アミノ酸がすべてカバーできないからです。
ところが、愛犬の慢性腎臓病が発覚するやいなや「高タンパクの食事は愛犬の腎臓をダメにしてしまう!」とタンパク質制限を始めてしまう飼い主さんも…。果たして愛犬が慢性腎臓病と診断されたら、タンパク質は制限すべきなのでしょうか?
目次
タンパク質は消化の過程で有毒物質を生成するから制限するべきって本当?
腎臓の数値が悪化した愛犬の、食事に含まれているタンパク質の含有量について悩んでしまう理由――それはひとえに、タンパク質を消化吸収し、代謝する過程で生成されてしまう副産物が腎臓に悪影響を与えるからです。
具体的な物質名をあげるとしたら、尿素窒素やアンモニアなど、体に害のある物質のことをいいます。(尿素窒素の毒性は低いが、アンモニアは毒性が強い)
腎臓はオシッコを作る臓器というイメージが先行しがちですが、本当はそんなに単純な役割だけを担っているわけではありません。むしろ、生き物の寿命に直結していると言っても過言ではないほど、最も重要な臓器の一つなんです。
その重要な臓器にダメージを与えるかもしれないと聞けば、愛犬の食事をタンパク質制限したくなる気持ちはわからなくもありません。できるだけ長生きさせるには、それしか方法はない!と、どこか追いつめられた気持ちになってしまうこともあるでしょう。

慢性腎臓病の犬にもタンパク質は必要!ただし消化しやすい質の良いもの限定
しかし結論から申し上げれば、慢性腎臓病と診断された犬の食事にも、タンパク質は必要不可欠です。それも、制限した結果ほんの少量のタンパク質、というような消極的な意味ではありません。それなりにしっかりした量(低~中タンパク程度)を摂取する必要があるのです。
なぜなら、タンパク質を制限すれば確かにアンモニアなどの有害物質の生成量を減らすことはできるでしょう。しかしタンパク質は細胞を作り出すうえで、絶対に欠かすことのできない栄養素。制限しすぎれば体は低栄養状態に陥り、エネルギー不足や全身の炎症を引き起こすなど、かえって悪い状態に陥ってしまうからです。
とはいえ、タンパク質を消化吸収する過程で生成される有毒物質が怖いのに、それなりにしっかりした量を摂取させて本当に大丈夫なの?と、なおも不安に思われる飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
もちろん、タンパク質であれば何でもいい、と言っているわけではありません。慢性腎臓病の犬の食事から排除したいのは、ただのタンパク質ではなく「質の悪いタンパク質」です。
質の悪いタンパク質とは消化吸収に時間がかかり、その結果として消化の過程で有毒物質をたくさん生成してしまうもののことをいいます。同じタンパク質ではありますが、消化しやすい高品質のタンパク質と一緒くたにすべきではありません。
さらには保存性を高めるための添加物なども、腎臓の負担になってしまいます。だからこそ、できるだけ余計な添加物が含まれていない食材を選ぶことは、慢性腎臓病を患っている犬の食事においては重要なポイントの一つなんです。
ところで、腎臓がダメージを受けるとはどのような状態?
腎臓がダメージを受ける…。わかるようなわからないような、なんとも曖昧な感じがしますよね。
腎臓は、腎小体と1本の尿細管で構成されたネフロンと呼ばれるもので作られています。ざっくり言ってしまうなら、腎臓は血液をろ過して尿を作る機能を持ったネフロンの集合体なんですね。(もちろんネフロン以外もありますが、わかりにくくなるのでここでは割愛)
犬の腎臓には左右合わせてだいたい80万個ほどのネフロンがあり、犬が生まれた日から亡くなるその時まで、せっせと血液をろ過する役割を担っています。
腎臓では、血液から原尿という老廃物を含んだ液体を作り出し、それをろ過する過程で体に必要な成分や水分は再吸収、体に必要ないものは尿として排出するよう、せっせと寄り分けてくれているんです。
つまり腎臓がダメージを受けるということは、体にとって良いものと悪いものを選り分ける機能に深刻な問題が生じることなんですね。フィルターが詰まってダメになると考えればわかりやすいでしょうか。
ろ過機能がダメになれば体には有害物質がどんどんたまっていくことになりますし、必要な成分や水分の再吸収ができなくなれば、体は深刻な脱水や栄養不足に陥ることになります。

腎臓は再生しないからこそ大事に使わなければならない
腎臓にダメージを受けてしまったら、空気清浄機のフィルターのようにネフロンを交換することができたら万事解決しそうですよね。しかし、残念ながらダメージを受けて壊れてしまったネフロンを再生することはできません。
もちろん、科学者もただ手をこまねいているわけではなく、ネフロン前駆細胞から腎臓を再生させる研究が行われているのは事実です。しかし、まだ実験段階の話であり、それも人間に対する医療が中心ですから、動物医療へ応用される日が来るのはいつになることやら…。
肝臓は哺乳類の内臓の中では再生能力が高く、損傷を受けた細胞が増殖して元の大きさにまで戻ることができます。しかし、現代の医療をもってしても、腎臓は今のところ再生することができません。
つまり、もしも腎臓にダメージを受けて腎臓病になってしまったら、残り少ないネフロンを大事に大事に扱って、大切に温存するしか方法はないのです。
愛犬が元気いっぱいな時は、腎臓のネフロンがどうなっているのかなんて、考えもしませんよね。しかし、本当は健康に見える犬の腎臓も、大なり小なりその機能を削りながら役割を日々果たしています。
これは何も犬に限ったことではありません。私たち人間の腎臓も同じです。だからこそ、中高年になるにつれて、血液検査で腎機能の数値が乱れたりするんですよね。
腎臓の機能に深刻な問題が生じ始めるのは、腎臓の機能が25%を割った時。要するに、腎臓の機能の75%が失われるまでは、気が付きにくいんですね。言い換えれば、75%失われるまでは、それなりに普通に生活できてしまうのです。
ここから先は、いかにして残った25%を大切にするかが勝負。もちろん25%をずっと維持することは難しく、24、23、22……と目減りしていくスピードを、なんとしても遅らせなければなりません。
この目減りを遅らせるために必要なものが、腎臓に負担をかけにくい食事です。
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慢性腎臓病と診断されると療法食への切り替えを指示されるけど…
血液検査によって愛犬の腎臓の数値が悪化していることが判明し、慢性腎臓病と診断されると、動物病院で腎臓病の療法食に切り替えるよう指導されることがほとんどです。
腎臓病の療法食は「いかにして残された腎機能を温存するか」を目的に作られているわけですから、これまで食べさせていた普通のドッグフードに比べて、確かに腎臓を守るという点では及第点なのは間違いありません。
しかし、いかんせん腎臓の療法食には大きな問題があります。それは、腎臓病の犬は食べムラが激しくなる傾向にあるにもかかわらず、腎臓病の療法食は犬にとって美味しいものではないことです。
食べなければ腎臓病は悪化しますから、飼い主としてはなんとしても療法食を食べさせようとします。しかし、犬は美味しくないから療法食を食べようとしない…。この「食べてくれない問題」は、ただでさえ愛犬の腎臓病に直面して参ってしまっている飼い主を、より苦しめることになるでしょう。
昨日は少し食べてくれたのに、今日は全然食べようとしない。どうして⁉
こんなことを繰り返しているうちに、愛犬の腎臓の状態はどんどん悪くなります。すると、最終的には獣医師から「療法食に限らず食べられるものならなんでも食べさせてあげましょう。人間の食べ物でもいいですよ」と指導されることも多いようです。
これは、「もう最期の時が近づいているから、栄養うんぬんではなく愛犬が喜ぶものを食べさせてあげましょう」という、優しいけれどある意味とても残酷なアドバイスなのかもしれません。
では、愛犬が慢性腎臓病と診断されたら、本当に療法食に切り替えることでしか、腎機能を温存することはできないのでしょうか?
※腎臓病の治療には投薬・輸液・再生医療などもありますが、今回は食事にフォーカスしています。

療法食に頼らなくても腎臓をいたわる食事は作れる
前述したとおり、腎臓に悪いのは消化に時間のかかる質の悪いタンパク質や、保存料などの添加物です。
つまり、消化吸収がしやすい質の良いタンパク質を中心とした食事であれば、残された腎機能をいたわることはできるはず。そのための療法食と考えるかもしれませんが、美味しくないからといって食べなければ、意味はありません。
だからこそ、ここは手作りご飯の出番なんです。
動物性タンパク質の食材に、質の良い鶏肉やブリなどの魚を使うことにより、腎臓病の犬も必要としているタンパク質をしっかり摂取させることができます。もちろん消化吸収の過程でアンモニアや尿素窒素の生成をゼロにすることは難しいですが、腎臓病の治療に使われる毒素吸着剤などを併用することで、その量をかなり減らすことはできるはずです。
また、オメガ3脂肪酸を含んだ食材を使うことで、腎機能障害の進行を遅らせることも期待できます。さらには、腎臓病の犬は脱水を引き起こしやすくなるため、ナノワンごはんのようなスープご飯を日常的に取り入れることで、しっかり水分補給もできますよね。
犬は雑食動物ですが、消化器の作りは肉食獣に寄っているので、肉類などのタンパク質を消化吸収することは、本来苦手ではありません。だからこそ、消化吸収に優れた質の良い動物性タンパク質は、腎臓病の犬の残された腎機能をいたわる食事に最適な食材なのです。
また手作りご飯であれば、食べムラが強くなる腎臓病の犬に合わせて食材をあれこれ組み合わせることにより、療法食より食べてもらえる可能性が高くなります。
昨日は食べた、今日は食べないと悩むくらいなら、消化吸収のしやすい質の高い動物性タンパク質の食材を探し回るほうがずっと建設的ではないでしょうか。美味しいものであれば、末期の腎不全の犬でもしっかり食べたという例は、実のところ少なくありません。
慢性腎臓病の愛犬を、1日でも長く楽しく過ごさせたい――そのためには、残された腎機能を温存しながらも、美味しいものを食べさせることを追求し続けることが大切です。
>『愛犬を大切な家族の一員にする為の絶対条件とは?ここに大きな秘密が・・・』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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