フィラリア予防薬の飲み忘れが愛犬の感染リスクを高めてしまう理由

フィラリアの感染から愛犬を守るには、毎年きちんと予防することが大切です。これは、いまや当たり前のこととして、犬の飼い主には周知されていますよね。しかし、月1回の経口投薬の何が厄介なのかといえば、ついうっかりの飲み忘れです。
「そういえば、先月分のフィラリア予防薬を飲ませなかった!」
こんな時、大丈夫かな?と不安になりつつも、なんとなくそのまま服用を継続する飼い主さんもいらっしゃることでしょう。でもこれ、実はけっこうリスキーな行動です。
目次
フィラリア予防薬の飲み忘れがリスキーなのは、本当は予防薬ではなく駆虫薬だから
フィラリア予防として最も一般的なのは、経口タイプの薬を必要な期間に月1回のペースで投薬することです。きちんと投薬の時期と容量用法を守れば簡単にフィラリアの予防はできるわけですが、この月1回という投薬サイクルが思ったより厄介。
そう、愛犬にフィラリアの予防薬を飲ませ忘れてしまうんですね。
フィラリア予防薬を飲ませ忘れれば、愛犬がフィラリアに感染するリスクは高まることになります。飲ませ忘れてもリスクが高まらないのであれば、そもそもフィラリアの予防薬をきっちり月1回飲ませる必要はありません。
では、なぜ月1回の投薬を忘れるとフィラリアの感染リスクが高まるのでしょうか。その理由は、フィラリア予防薬の正体は予防薬ではなく、フィラリアの子虫を駆除するための「駆虫薬」だからです。
>『犬のフィラリア予防薬とノミ・マダニ駆虫薬|必要性とデメリット』

フィラリアの幼虫を経口薬で駆除できるのは皮下や筋肉内にいる間だけ
フィラリアの予防薬を服用させることにより、血管内に入り込んでしまったフィラリアを駆虫することができる……という認識は間違っています。
というのも、フィラリアは蚊に吸血された際にダイレクトに血管内に入り込み、それが心臓や肺に血液に乗って移動するわけではないからです。
フィラリアの幼虫であるミクロフィラリアは、蚊の体内で2回脱皮をします。そして、この時点で犬の体内に入ることができた幼虫だけが、さらなる成長段階へと進むことができるんですね。
運よく?蚊の吸血によって犬の体内に入り込んだフィラリアの幼虫は、50日から60日かけて血管内ではなく皮下あるいは筋肉の中で次の段階へと成長します。
実は、フィラリアの予防薬(本当は駆虫薬)が幼虫を駆除できるのは、このタイミングだけなんです。皮下あるいは筋肉内にいる時期を逃してしまうと、最悪のケースへと移行――つまりは、血管内に移動してしまうんですね。
そしてフィラリアの幼虫が血管内に移動してしまった場合、経口タイプのフィラリア予防薬では駆虫できなくなってしまうのです。
つまり、フィラリアの予防薬を飲ませ忘れてしまった場合、皮下や筋肉内から血管に移動したフィラリアの幼虫は、駆虫をすり抜けて、さらなる成長を続けてしまう可能性がでてくるわけですね。
血管内に移動した幼虫は、その後どうなると思いますか?そう、やがて成虫となって心臓や肺動脈に寄生するのです。
フィラリア予防薬は犬の体内に入り込んだ直後の幼虫には効かない
たかがフィラリアの予防薬を1回飲ませ忘れただけで、そんなに感染リスクが高まるものなの?と疑わしく思われたかたもいらっしゃることでしょう。
そもそも、フィラリアの幼虫は50日から60日かけて皮下や筋肉内で成長してから血管へ移動するわけだから、1回飲ませ忘れたくらいなら、期間としてはセーフなのでは?だって1ヶ月はだいたい30日だから…、と考えたくなりますよね。
というわけで、具体的な例で考えてみましょう。
- フィラリア予防薬の投薬期間は5/1~11/1
- 5/1、6/1、7/1 → 投薬した
- 8/1 → 投薬を忘れた
- 9/1 → 投薬した
もしも上記のようなサイクルでフィラリア予防薬を投与したとしたら、7/11以降にフィラリアの幼虫を体内に持っている蚊に吸血されたとしても、9/1の投薬によって駆虫することができます。つまり、セーフですね。
しかし、7/10までにフィラリアの幼虫を体内に持っている蚊に吸血された場合、この時に犬の体内に入り込んだフィラリアの幼虫は、犬の体内で50日以上成長できる時間があります。
たった1日の違いで感染確率が変わるの!?……などと、細かいところを気にしないでくださいね。これはあくまでも、わかりやすくなるように例として日付を入れているだけです。
7/1はちゃんと投薬しているのであれば、その時の薬剤で駆虫できるのでは?と思われるかもしれませんが、もう一つ厄介なことがあります。それは、フィラリアの予防薬は犬の体内に入り込んだ直後の幼虫には効果がないことなんですね。
つまり、7/10までに犬の体内に侵入したフィラリアの幼虫は、8/1の投薬でなければ「完璧に駆虫できた」とは言えないのです。もちろん、7/1の投薬で駆虫できるかもしれません。しかし、できない可能性があるからこそ、毎月しっかり投薬する必要があるのです。

飲ませ忘れが怖いから月1回の経口投与ではなく年1回の注射にする?
現時点において、フィラリア予防薬は月に1回服用させる経口タイプが主流です。「月に1回だから忘れちゃうんだよ、飲ませ忘れのない予防薬はないの?」と思った飼い主さん。実はあります。それは、1年に1回接種する注射タイプの予防薬です。
となると、毎月1回の投薬より年に1回の注射に変えたい、と考えたくなりますよね。
しかし、経口タイプの予防薬に比べて注射タイプの予防薬が主流にならないのには、ちゃんと理由があります。
フィラリア予防注射を接種できない犬
- 成長期の犬(月齢6ヶ月未満の子犬は絶対にダメ!)
- 妊娠中の犬
- 初めてフィラリア予防注射を接種する時点ですでに年齢が10歳以上
- なんらかの重い基礎疾患がある
- 薬でアレルギー反応を示したことがある
フィラリア予防注射のデメリット
- 現在主流になっている経口タイプの薬のようにノミやマダニの駆除はできない
- 経口タイプより副作用の報告が多く、ごく稀ではあるものの接種後の死亡例がある
- 動物病院によっては注射タイプの取扱いがない
- 薬剤品質保持のため、動物病院によって接種できる期間を限定している場合がある
- 経口タイプより割高になるケースがほとんど
- すでにフィラリアに感染している犬に接種すると寄生虫が急激に死滅し、大静脈症候群など重篤な症状を引き起こす可能性がある
注射タイプでフィラリアを予防する場合、ノミやマダニの予防は別途する必要があります。月1回の飲み忘れが心配だし、毎月は手間だから…、という理由で注射タイプを選択するのは、正直なところおすすめできません。
要は、楽をしてフィラリアの感染症を100%予防することはできない、というわけですね。
フィラリア予防薬の期間はいつも以上に腸のケアを心がけよう
フィラリアはきちんと予防していれば、100%防げる感染症です。「月1回の投薬だからつい忘れてしまう」ではなく「月1回の投薬で完全に防げるなんてありがたい!」と思うべきなんですよね。
そして、もう一つ大事なこと。それは、フィラリア予防薬の薬剤をしっかり働かせるためにも、腸内環境のケアをすることです。腸内環境が悪玉菌優勢の状態では、栄養はもちろんのこと、薬の成分もきちんと吸収することはできません。
腸内環境の改善は日常的に必要なことではありますが、フィラリア予防薬の投薬期間はいつにもまして、しっかりケアをしてあげましょう。愛犬の健康と長寿は飼い主さんの手にゆだねられています。
>『犬の「腸活」基礎知識|腸の温度を上げないと腸内環境は改善しない』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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