犬が食欲はあるのに痩せるのはなぜ?アルブミン低下と消化吸収・体重減少の関係

愛犬は毎日しっかり食べている。
食事の時間になると自分から器の前に来て、残さず食べている。
それなのに、抱いた時に以前より軽く感じる。
背骨や腰骨が触れやすくなり、後ろ脚も少し細くなってきた。
血液検査では、アルブミンの低下を指摘された。
このような状態になると、多くの飼い主様は、
「食欲があるのに、なぜ痩せるのでしょうか」
「食事量が足りないのでしょうか」
「もっとたくさん食べさせれば、アルブミンも上がるのでしょうか」
と不安になると思います。
私はこれまで14年間、犬のアルブミン低下、下痢、軟便、食欲、体重減少などについて、6,000件以上のご相談を受けてきました。
その中でも、飼い主様が特に判断を迷われるのが、「よく食べているのに痩せる」という状態です。
食欲があることは、愛犬の体力を考えるうえで非常に大切です。
しかし、食べていることと、食べた栄養を体に残せていることは同じではありません。
口から入った食事は、胃や腸で消化され、必要な栄養が吸収され、血液を通して全身へ運ばれなければなりません。
その途中に問題があれば、食欲があっても体重や筋肉が減り、アルブミンが低下することがあります。
今回は、犬が食欲はあるのに痩せる時に考えたいことを、体重、消化吸収、アルブミン、見た目の変化という視点からお伝えします。
目次
食欲があることと、栄養を吸収できていることは別です
犬が食事をしっかり食べている姿を見ると、飼い主様は安心されると思います。
確かに、自分から食べられることは、体がまだ食事を受け入れようとしている大切なサインです。
しかし、食べたものがすべて体の栄養になるわけではありません。
食事はまず胃や腸で細かく分解されます。
その後、小腸から必要な栄養素が吸収され、体重、筋肉、血液、臓器を維持するために使われます。
ところが、腸の炎症、リンパ管の異常、膵臓から出る消化酵素の不足などがあると、食べた量に対して十分な栄養を取り込めないことがあります。
吸収不良では、食欲の変化や下痢だけでなく、よく食べているにもかかわらず体重が減る場合があります。
食べたものを消化できていない場合、便の量が多くなったり、色が薄くなったり、においが強くなったりすることがあります。
しかし、すべての犬に分かりやすい下痢が出るわけではありません。
便の形があるため、飼い主様が腸の問題に気づかないまま、体重だけが少しずつ減っていくこともあります。
大切なのは、「完食したかどうか」だけではなく、
一日に実際にどのくらい食べているか。
食べた後の便量はどうか。
数週間単位で体重が変化していないか。
筋肉が落ちていないか。
という点まで確認することです。
アルブミン低下と体重減少が一緒に起こる理由
アルブミンは、主に肝臓で作られる血液中のたんぱく質です。
血管内に水分を保つことや、さまざまな物質を運ぶことに関係しています。
犬のアルブミンが低下する原因には、腸からたんぱく質が失われる蛋白漏出性腸症、腎臓からのたんぱく質喪失、重度の肝機能低下、炎症、出血などがあります。
中でも、食欲があるのに痩せ、アルブミン低下が同時に見られる場合には、食べた栄養を腸から十分に吸収できているか、腸からたんぱく質が失われていないかを確認する必要があります。
蛋白漏出性腸症は、一つの病名ではありません。
慢性腸症、腸リンパ管拡張症、腫瘍など、腸管から血液中のたんぱく質が失われる複数の病気や状態をまとめた呼び方です。
蛋白漏出性腸症の犬では、体重を維持しにくくなり、元気の低下、腹水、脚や体の下側のむくみ、胸水による呼吸の異常などが見られることがあります。
ここで注意していただきたいのは、食べる量を増やせば、必ずアルブミンが上がるわけではないということです。
腸からたんぱく質が失われ続けている場合、口から多く入れても、それ以上に体の外へ失われている可能性があります。
また、病状に合わない食事を急に増やすと、腸への負担が大きくなり、便がゆるくなる場合もあります。
そのため、アルブミンが低いからといって、単純に肉や高たんぱくな食材を増やすのではなく、
低下の原因は何か。
腸から失われているのか。
腎臓から漏れていないか。
肝臓で十分に作れているか。
食事中の脂肪量や総カロリーは適切か。
という点を、獣医師と整理することが大切です。
体重計だけでは分からない「筋肉の減少」
愛犬が痩せているかどうかを確認する時、多くの方は体重計の数字を見ます。
もちろん、体重の変化は非常に重要です。
しかし、体重が大きく変わっていないからといって、安心できるとは限りません。
たとえば、背中や脚の筋肉が減る一方で、お腹に腹水がたまっていれば、体重計ではほとんど変化がないように見えることがあります。
食欲があり、体重も同じなので安心していたものの、実際には筋肉が落ち、お腹だけが膨らんでいたというケースもあります。
WSAVAでは、体脂肪の状態を見るボディコンディションスコアと、筋肉量を確認するマッスルコンディションスコアを別に評価することが推奨されています。
脂肪が多い犬でも、病気によって筋肉が大きく減っている場合があります。
家庭では、体重と一緒に次の部分を触ってみてください。
背骨の両側。
腰骨の周り。
頭の上やこめかみ。
肩甲骨の周り。
後ろ脚の太もも。
以前より骨がはっきり触れる、筋肉の厚みが薄くなった、後ろ脚に力が入りにくいといった変化がないかを確認します。
毛の長い犬では、見た目だけでは痩せたことに気づきにくいため、実際に手で触ることが大切です。
また、お腹が膨らんでいる場合は、単なる体重増加と決めつけないでください。
左右対称にお腹が張っている、寝ている時にお腹が横へ広がる、呼吸が速くなった、胸や脚の下側がむくんでいる場合は、腹水や浮腫の可能性も考える必要があります。
「もっと食べさせる前」に整理したいこと
愛犬が痩せてくると、飼い主様は食事量を増やしたくなると思います。
しかし、その前に一度、現在の食事内容を整理してください。
主食は一日に何グラム食べているのか。
一日何回に分けているのか。
おやつやトッピングはどのくらいか。
薬を包むために使っている食材は何か。
最近フードを変更していないか。
便の量や回数はどう変化したか。
特に、ステロイドを服用している犬では、薬の作用で食欲が強くなる場合があります。
そのため、欲しがる量が、その子に必要な量とは限りません。
たくさん食べているように見えても、主食よりおやつやトッピングの割合が増え、必要な栄養バランスが崩れていることもあります。
一方で、低脂肪食などを厳しく続ける中で、総カロリーが不足し、体重を維持できていない可能性もあります。
大切なのは、低脂肪、高たんぱくといった一つの言葉だけで食事を判断しないことです。
今の体重に対して、必要なエネルギーを取れているか。
体重を減らさずに続けられる内容か。
便や食後の状態は安定しているか。
病気の状態に食事が合っているか。
この点を確認する必要があります。
食欲がある犬では、状態によっては内視鏡生検へ進む前に、獣医師の管理のもとで食事試験が検討されることもあります。
ただし、自己判断で療法食を中止したり、脂肪やたんぱく質を大きく増減したりすることは避けてください。
食欲があるのに痩せる時に確認したい検査
食欲があるのに体重が減り、アルブミンも低い場合は、一つの検査だけで判断するのではなく、複数の結果を合わせて見る必要があります。
血液検査では、アルブミンだけでなく、
総たんぱく。
グロブリン。
コレステロール。
カルシウム。
肝臓の数値。
腎臓の数値。
炎症に関係する数値。
ビタミンB12。
などを確認します。
尿検査では、腎臓からたんぱく質が漏れていないかを調べます。
超音波検査では、腸壁の厚さ、腸の層構造、リンパ管、リンパ節、肝臓、膵臓などを確認します。
必要に応じて、便検査、膵臓の消化酵素に関する検査、内視鏡検査や組織生検などが検討されます。
異常な体重減少の原因は、消化器だけでなく、肝臓、腎臓、感染症、腫瘍など多岐にわたるため、体重減少を食事量だけの問題と決めつけないことが重要です。
飼い主様から主治医へ伝えていただきたいのは、
いつから体重が減り始めたか。
食事量は実際に増えているか、減っているか。
便の回数や量は変わったか。
ステロイドなどの薬を始めた時期。
アルブミンの推移。
お腹や脚のむくみ。
散歩や動き方の変化。
という時系列です。
一回の数値より、変化の流れが大切です。
毎日の記録で「食べた量」と「残せた結果」を見る
食欲があるのに痩せる犬では、食べた量と体に残った結果を分けて記録することをおすすめします。
食べた量については、主食、おやつ、トッピングを含め、一日の総量を記録します。
体に残った結果については、体重、筋肉、便、元気、検査値を見ます。
たとえば、
毎日完食しているが、2週間で300グラム減った。
食事量を増やしたが、便量も増えた。
食欲は強いが、後ろ脚の筋肉が細くなった。
体重は同じだが、お腹が膨らみ、背骨が目立つ。
このような記録があると、単に食事が足りないのか、吸収や喪失の問題が疑われるのかを、獣医師へ具体的に伝えられます。
体重は、できるだけ同じ時間帯、同じ条件で、週に一度程度測ります。
毎日測ると水分や排泄による小さな変動に振り回されるため、一定の間隔で傾向を見る方が分かりやすい場合があります。
写真も役立ちます。
上から見た姿。
横から見た姿。
後ろ脚や腰回り。
お腹の膨らみ。
これらを同じ場所と姿勢で撮影しておくと、数週間後に変化を比較できます。
食欲は希望です。しかし、食欲だけで安心しない
私は、食欲は愛犬の体が応えようとしている大切なサインだと考えています。
食欲があるからこそ、食事、水分、家庭でのケアを進められます。
しかし、食欲があることだけで、体の中が順調だとは判断できません。
食べているのに痩せる。
アルブミンが低下している。
筋肉が落ちている。
お腹が膨らんでいる。
このような変化がある場合は、「もっと食べさせればよい」と考える前に、食べたものを体がどう扱えているかを確認する必要があります。
食べる。
消化する。
吸収する。
体に残す。
不要なものを出す。
この流れのどこに問題があるのかを、一つずつ整理してください。
ナノワン・リセットでも、食欲があるから量を増やせばよいという考えではありません。
水に溶かして温めたスープを自分から食べられるか。
食後に不快感がないか。
便や排泄のリズムはどう変わるか。
体重や筋肉を維持できているか。
こうした体全体の反応を見ながら、その子に合った進め方を考えていきます。
病院で必要な検査や治療を受けること。
家庭で食欲、便、体重、筋肉を見続けること。
この両方が大切です。
愛犬がよく食べている姿は、飼い主様にとって大きな安心だと思います。
しかし、その食欲を本当の回復につなげるためには、食べた量だけでなく、体に残せているかまで見てあげてください。
それが、アルブミン低下と体重減少を早く理解し、愛犬の体を守るための第一歩になると、私は考えています。
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賞味期限:開封後10日以内
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同包物:レシピ

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