愛犬のうんちの色には健康状態が表れている。
愛犬がうんちをしたら、どのようなうんちをしたのか毎回しっかり観察していますか?
「うんちなんて、そんな頻繁にジロジロ見るものじゃない」と思った飼い主さんは、愛犬の健康状態を知る機会を見逃しています。
愛犬のうんちは単なる食べかすや老廃物の寄せ集めではありません。体の中の健康状態を映す鏡と同じです。だからこそ、健康状態は最高でも、うんちの状態だけはあまりよくない……ということはあり得ません。
というわけで、今回は犬のうんちの色や形状について考えてみたいと思います。
目次
健康な犬の理想的なうんちは茶色で適度にしっとり
愛犬の下痢や軟便が続いていると、排泄の体勢をとるたびに「今度こそまともなうんちをしてほしい」とハラハラしながら見守ることがありますよね。
反対に便秘がちで普段からカチカチのうんちをしている犬の場合は、「スムーズに出ろ!たくさん出ろ!」という思いで見守ることになるでしょう。
では、下痢でも軟便でも便秘でもない、ごく普通のうんちをしている時はどうでしょうか。
下痢をしていた直後ならともかく、基本的には「うん、いいうんちだな」程度の確認をしたら、すぐに処分してしまいますよね。
うんちの形状に心配な要素がないからこそ、ついついうんちを片付けるだけになるとは思いますが、そのうんちは本当に健康なうんちと言えるのでしょうか?
一見するとごく普通のうんちに見えたとしても、それが健康な犬の理想的なうんちとは限りません。理想的な犬のうんちとは、次のような条件を満たしています。
- 茶色いうんち(色の濃さは食べているもので多少の濃淡あり)
- 硬すぎず柔らかすぎずで、わずかにしっとりしている
- 形はある程度まとまっており、1回の排便で2~3本程度
- うんちのにおいは多少するが鉄サビや硫黄のような悪臭ではない
つまり、一見すると正常なうんちに見えたとしても、上記から外れているならそこにはなんらかの理由があるはずです。
愛犬の下痢に悩んだら知ってほしいことがあります。
>『下痢の改善は3つのポイントと現代の犬の生態を知る事が鍵となる。』
犬のうんちの形状が教えてくれる胃腸の状態
愛犬のうんちが「適度にしっとり」していないとしたら、次のような原因が考えられます。
ポロポロあるいはコロコロした硬めのうんち
カサカサした硬めのうんち、あるいは砂みたいにパラパラ崩れるうんちは、明らかにうんちに含まれているべき水分が足りていません。原因としては、なんらかの事情で大腸内にとどまっている時間が長いと考えられます。
食べ物の食物繊維が足りないか、運動不足によって腸の蠕動運動が鈍くなっているのかもしれません。
下痢とまではいかないが柔らかすぎる軟便
かろうじてうんちの形はあるものの、ティッシュでつかみにくいとしたらそれは軟便です。とてもではありませんが、良いうんちとは言えません。
ドッグフードにしろ手作りご飯にしろ、食べ物がお腹に合っていない可能性があります。また、精神的なストレスが原因とも考えられますが、適切な食事をさせてストレスの原因を取り除いてもなお軟便が続くとしたら、寄生虫やウィルス感染なども視野に入れたほうがよさそうです。
うんちの表面にゼリー状の物質が付着している
うんちの表面に透明な粘液のようなものが付着しているとしたら、大腸での炎症が考えられます。
健康な犬のうんちにも粘液は混ざっていますが、飼い主さんが目視で発見できるとしたら、粘液の量が多すぎます。
ほとんど形のない水のような下痢(水様便)
下痢よりさらに水っぽく、まるで肛門からオシッコをしているような水様便は明らかな異常です。急激に体から水分が出ている状態のため、そのまま放置すると脱水を引き起こしてしまいます。
重度の腸炎や緊急性の高いウィルス感染が疑われるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
血が混ざっている血便
便に血が混ざっている場合、胃・小腸・大腸・直腸のどこかで出血していると考えられます。
また、肛門周辺から出血している可能性もあるため、まずは原因の特定が必要です
犬の血便についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
犬のうんちの色の違いでわかる病気の可能性
うんちの形状と同様に、犬のうんちの色を観察すると、かかっているかもしれない疾患を推測することができます。
黒またはグレーがかった暗めの赤いうんち
胃または小腸から出血している可能性が考えられます。
黄色っぽいうんち(薄茶ではない)
黄色のうんちの原因は慢性膵炎が考えられます。うんちを黄色っぽくしている原因は食べ物の脂肪で、膵臓から正常に消化酵素が分泌していないのかもしれません。
また、肝臓や胆嚢(たんのう)に異常がある場合も、黄色いうんちをすることがあります。
緑色のうんち
緑色の正体が草だとしたら、胃の不調が原因で草を食べたのかもしれません。しかし、草を食べていないのにうんちが緑色の場合は、胆汁に含まれているビリルビンが酸化した色と考えられます。
小腸や大腸の働きに問題があると、本来なら腸で再吸収されるはずだった胆汁がうんちに混ざるせいで緑色となるため、胆汁便とも呼ばれるものです。
うんちに白い点々が混ざっている
白ごまのようなものを食べさせていないとしたら、白い点々の正体はおそらく寄生虫です。すぐに動物病院で駆虫してもらいましょう。
健康な犬のうんちは臭くない!
うんち=臭いものというイメージがありますが、腸内環境の良い犬がするうんちは、あまり臭くありません。
もしも愛犬のうんちには問題がないと思っているのに、鉄サビや硫黄のようなにおいがするとしたら、腸内環境が乱れています。
犬のうんちは、形があって下痢でさえなければよいというものではありません。うんちは愛犬の内臓の状態を飼い主さんに見せてくれるツールそのものです。
理想的なうんちがでるように食事や生活環境を整えることが、愛犬の健康長寿につながります。
犬の血便と薬漬けについてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
>『愛犬の血便は薬漬けにしても治らない!必要なのは腸の冷えの改善』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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