心臓病の犬は血中タウリン濃度が低いって本当?

タウリンといえば、ファイトイッパーツ!でお馴染みのアミノ酸です。筋肉疲労や眼精疲労の緩和に効果があるとされており、なるほど確かにファイト一発!という感じですよね。
そんなタウリンは、犬の心臓機能を正常に保つ働きが注目されています。しかし、その割に犬の必須アミノ酸には数えられていません。その理由は、犬は肝臓でタウリンを合成できるからです。
ところが様々な研究から、犬が体内で合成できるタウリンの量は、それほど多いわけではないことが判明しています。
目次
タウリンは犬にとって不思議な位置付けの重要なアミノ酸
犬の必須アミノ酸は、イソロイシン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・バリン・リジン・ロイシン・トリプトファン・ヒスチジン・アルギニンの10種類です。犬はこれらのアミノ酸を体内で合成できないので、食べ物から摂取しなければなりません。
これに対し、犬が体内で合成できるアミノ酸(非必須アミノ酸)には、グルタミン・アスパラギン酸、グルタミン酸・アラニン・プロリン・システイン・アスパラギン・セリン・グリシン・チロシンがあります。
これらの非必須アミノ酸は、犬の体内でタンパク質合成の補助などに使われている、とても重要なものです。
……あれ、肝心のタウリンがどちらにも入っていない?
そうなんです。タウリンは犬の心臓機能を正常に保つ働きが期待されている、とても重要なアミノ酸の一種です。しかし、他のアミノ酸のようにタンパク質の合成に関与していません。そのため、必須アミノ酸・非必須アミノ酸のどちらでもなく、非タンパク質アミノ酸と呼ばれています。
では、さぞかし珍しいアミノ酸なのかといえば、まったくもってそういうことでもなく…。
タウリンは、犬や人間を含めた多くの動物の心臓・肝臓・脳などの重要な臓器や骨髄、網膜といった組織にたくさん存在している物質です。
このように、タウリンは体にとって絶対的に必要でありながら、タンパク質の合成には関わっていないので必要性がわかりにくいんですよね。ある意味、ちょっと不思議な位置づけのアミノ酸といったところでしょうか。
とはいえ、必須アミノ酸にも非必須アミノ酸にも分類されていませんが、とても重要なアミノ酸であることだけは間違いありません。

タウリンを合成できるのは動物性タンパク質だけ
犬の体内でタウリンを合成するために必要なのは、動物性タンパク質です。植物性タンパク質からタウリンを直接合成することはできません。というのも、そもそも植物にはタウリンを直接合成するための、代謝経路が存在していないからです。
つまり、野菜や果物をいくら食べさせても、犬の体内でタウリンを合成することはできないのです。おまけに、植物性タンパク質にはタウリンを合成する際に必要な、必須アミノ酸のメチオニンも含まれていません。
こうしたことからも、やはりどう考えても犬にとって必要なタンパク質は「動物性」だということがわかるのではないでしょうか。もしも健康に良さそうだからという理由だけで愛犬の食事をヴィーガンやベジタリアンにしているなら、それは犬の健康を害しています。
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タウリンは犬の体内で重要な働きをしているアミノ酸
リポ〇タンDのCM効果なのか、タウリンには疲労回復のイメージが強いですよね。もちろんそれは間違いではありませんが、タウリンの働きはそれだけではありません。犬が健康に生きるために欠かせない、重要な役割を担っています。
- 心臓の筋肉(心筋)の強化
- 心臓の収縮を正常に保ち全身に血液を送り出す
- 血管の強化
- 血液の循環を正常に保ち血圧を下げる
- 胆汁酸の分泌促進による脂肪分解の強化
- 幹細胞の再生促進
- 膵臓からのインスリン分泌促進
- 網膜の修復促進
上記はタウリンの働きの代表的なものであり、細々としたものまであげていたらきりがない程です。犬が体内でタウリンを合成できるのは事実ですが、その量が期待しているほど多いわけではないということは…。
これだけ重要な働きをしているアミノ酸です。不足すれば体調不良を招いてしまうであろうことは、火を見るより明らかなんですよね。

僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症の犬は血中タウリン濃度が低い
近年では、犬の心臓病とタウリンの関係が注目されています。小型犬にとても多い僧帽弁閉鎖不全症、中・大型犬の心臓病に多い拡張型心筋症、そのどちらも血清中タウリン濃度と循環器疾患との関連性が指摘されているんですよね。
つまり、現代を生きる犬に心臓病が多くなっているのは、タウリンが不足していることが原因の一つではないかと考えられているわけです。
実際に、アメリカや日本などの複数の獣医大学や研究機関で、心臓病の犬の血中タウリン濃度を測定する調査が実施されています。その結果、心臓に何も問題のない犬と比較して、僧帽弁閉鎖不全症の犬は血中のタウリン濃度が低下していることが判明しました。
さらには米国食品医薬品局(FDA)の調査によると、拡張型心筋症を発症した中型犬や大型犬のうち、かなりの割合でタウリン欠乏症が確認されたとの報告もあがっています。
高タンパクの食事をしているのにタウリンが不足しているのはなぜ?
犬は体内でタウリンを合成できるはずなのに、なぜ血中タウリン濃度が低い状態が発生するのでしょうか。
原因として指摘されているのは、毎日の食事として食べているドッグフードに含有しているタウリンとメチオニンの量が足りていないことです。
しかし、ここで一つ疑問が。
ここ数年ドッグフードは高タンパクの傾向にあります。つまり、タウリンの原材料となる動物性タンパク質は足りているはずなんですよね。それなのに、犬の心臓病は年々増加傾向にあります。となると、摂取している栄養状態に問題がないにもかかわらず、体内のタウリンが不足している犬が増えていることになります。
その原因として推測されているのは、
- 純血種は近い間柄(血筋)で交配を繰り返したことにより、タウリンの合成能力が低い遺伝子を受け継いだ個体が多くなった。
- 純血種は近い間柄(血筋)で交配を繰り返したことにより、タウリンの合成を阻害する因子を受け継いだ個体が多くなった。
もちろん、タウリンが不足してしまう原因は、遺伝子だけではないでしょう。加齢やストレスなど様々な要因が複雑に絡み合い、その結果タウリンの合成能力が低下したという可能性は十分に考えられます。
とはいえ、小型犬の純血種が発症しやすい病気に僧帽弁閉鎖不全症が多いことをかんがみると、近い血の範囲で交配を繰り返していることが、タウリン不足の個体を多く生み出しているという疑念を拭うことはできそうにありません。
>『愛犬を長生きさせる秘訣』

大切なのは愛犬の毎日の食事の栄養バランスを良質な食材で整えること
愛犬が心臓病になるのはイヤだから、サプリメントでタウリンをたっぷり摂取させればいい――こうした短絡的な考え方は、食事の栄養バランスを乱す原因になりやすいので注意が必要です。
とても当たり前のことですが、大切なのは毎日の食事の栄養バランスを正しく整えることです。そして、動物性タンパク質には良質で消化しやすい食材を選んでいれば、基本的にはそうそうタウリンは不足しないはず。
もちろん、愛犬が心臓病の好発犬種である、すでに心臓の雑音を指摘されている、シニア期を過ぎて加齢による衰えが気になりだした等の理由があるのであれば、タウリンが不足しないようにタウリンを多く含んだ食べ物を積極的に食事に取り入れるべきでしょう。
心臓病に限らずですが、病気が怖いからサプリメントをじゃんじゃん飲ませるのではなく、栄養バランスの整った毎日の食事こそが、愛犬の健康と長寿につながるのです。
>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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