犬の手作りご飯の野菜|大根は茹でる・生どちらもOKだが基本は加熱
大根は犬に食べさせてもよい野菜です。下痢をしている犬の食事にも使いやすい食材といえるでしょう。
しかし、犬の手作りご飯に大根を使う時は、葉っぱの部分と根の部分の使い分けが必要。さらには生と加熱の違いを理解しておかないと、大根の良さを活かせません。
目次
大根には犬の体に有効な栄養素がいっぱい
大根には犬の体に良い栄養素がいろいろ含まれています。さらには水分が90%以上と多く、水分補給ができるとともに、栄養過多にならずカロリーが低いところも使いやすい理由といえるでしょう。
そんな大根に含まれている代表的な栄養素は次の通りです。(消化酵素については次項で解説します)
根の部分(大根の白いところ)に多く含まれている栄養素
- カリウム
- ビタミンC
- 食物繊維
葉っぱの部分に多く含まれている栄養素
- ベータカロテン(ビタミンA)
- ビタミンC
- ビタミンE
- カルシウム
- カリウム
- 鉄分
犬の手作り食とサツマイモについてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
犬の体に効果が期待できる大根の消化酵素
大根にはいろいろな種類の酵素が含まれています。
しかし大根に含まれている酵素はおおむね70度を超えると活性を失ってしまうため、酵素の効力を最大限に発揮するなら生で食べさせなければなりません。
ただし、大根を生で食べさせると犬の体調や体質によっては嘔吐や下痢の原因になることがあります。大根を生のままで犬に食べさせる場合は、加熱した時より注意が必要だと頭に叩き込んでおきましょう。
大根に含まれる酵素:アミラーゼ(ジアスターゼ)
でんぷん(炭水化物)を分解する酵素で、人間の唾液には含まれていますが、犬の唾液には含まれていません。犬は膵臓から分泌されるアミラーゼのみで、一生懸命でんぷんを分解しているわけですね。
そのため、穀物などの炭水化物を多く含んでいる食事の際は、大根のアミラーゼによる消化吸収のサポートが期待できます。
ただし過度の期待は禁物。前述した通り、生の大根が体調や体質に合わないと、嘔吐や下痢などを引き起こすことがあるからです。
大根に含まれる酵素:プロテアーゼ
タンパク質を分解する酵素のため、タンパク質をしっかり摂取しなければいけない犬の食事にはなんとも魅力的な酵素です。
ただし、生の大根は酵素が摂取できる反面、胃を刺激して嘔吐や下痢の原因になることがあります。しつこいようですが、生のままで与える際はくれぐれも量と愛犬の体調に注意しましょう。
【番外編】大根に含まれる辛み成分:イソチオシアネート
イソチオシアネートは化学構造の一部に「 -N=C=S 」という構造を持っている物質の総称です。ややこしいので、大根の辛み成分と覚えてください。
この成分は酵素ではありませんが、殺菌作用やがんの抑制効果が期待されています。そこだけ聞くとぜひ愛犬の食事に加えたくなりますが、早まってはいけません。
この成分こそが、生で大根を食べさせると犬の胃を刺激してしまうのです。
ちなみに、イソチオシアネートは大根の細胞が壊れる際に生成される化合物のため、大根おろしのようにしっかり細胞を破壊したものでないと摂取できません。
大根おろしを試してみる時は、小指の先程度の少量からはじめ、愛犬の体調に異変が起きないかを確認しながら増量するのが一番安全です。
犬に食べさせてもよい大根の適量
犬の食事に大根を加える場合は、根の部分と葉っぱの部分を分けて考える必要があります。なぜなら
- 根の部分 → ほとんどが水分だが食物繊維はそれなりに多い
- 葉っぱの部分 → 栄養豊富で食物繊維は根の約3倍含まれている
このように、同じ大根でも葉っぱと根では食物繊維の量が違います。
以下は、犬の体重別にみた1日あたりの大根の適量です。
大根を食べさせても良い量:5kg前後の小型犬
- 白い部分→25g程度
- 葉の部分→5g程度
大根を食べさせても良い量:10kg前後の小・中型犬
- 白い部分→50g程度
- 葉の部分→10g程度
大根を食べさせても良い量:20kg前後の中型犬
- 白い部分→100g程度
- 葉の部分→20g程度
大根を食べさせても良い量:25kg以上の中・大型犬
- 白い部分→125g~
- 葉の部分→25g~
上記は体重1kgにつき「白い部分5g」「葉っぱ1g」で計算してあります。この適量は大根が愛犬の体調に合っているかわからない状態を想定したものです。
大根が体調に合いそうだと判断したら、少しずつ量を増やして様子をみるのが一番です。
老犬と手作り食についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
大根に含まれている食物繊維
大根の白い部分と葉っぱの部分はどちらも食物繊維を含んでいますが、内容には違いがあります。
大根100gに含まれている食物繊維の量
- 白い部分 → 水溶性食物繊維0.5g 不溶性食物繊維0.9g
- 葉の部分 → 水溶性食物繊維0.8g 不溶性食物繊維3.2g
このように、大根の葉に含まれている食物繊維は圧倒的に不溶性が多いのです。となると、大根の白い部分と葉を同列に扱えないことがおのずとわかるのではないでしょうか。
そのため、大根の根と葉は犬の体調に合わせて使い分けることが大切です。
- 白い部分 → 普段の食事、下痢をしている時の食事
- 葉の部分 → 便秘などで食物繊維を多めに摂取させたい時
犬の手作りご飯に大根を加える時の注意点
大根は犬の手作りご飯に使いやすい野菜ですが、注意しなければいけないことがあります。
腎臓病の犬には与えない
大根にはカリウムが豊富に含まれているため、カリウムを排出する力が弱っている腎臓病の犬の食事には適していません。
血液中のカリウム量が増えると心臓の働きを弱めてしまう恐れがあります。
甲状腺疾患の犬には与えない
大根はアブラナ科ダイコン属の野菜で、アブラナ科の植物に特徴的なゴイトロゲンという成分が含まれています。
ゴイトロゲンには甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素の吸収を阻害する働きがあり、甲状腺疾患を悪化させる可能性があるからです。
大根アレルギーが疑われる場合は与えない
大根を食べさせたあとで嘔吐・下痢・皮膚の赤み・かゆみといった症状が表れた場合は、大根を食事に加えるのをただちに中止しましょう。
大根の与え方は「加熱」が基本
犬は大根を生でも加熱でも食べられますが、胃腸への刺激を考えると「加熱」が一番安全なのは間違いありません。
特に、お腹が緩みがちな犬や下痢をしている犬は、胃腸に余計な刺激を与えないように加熱した状態で大根を食事に加えることが基本です。
犬の手作り食についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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