【愛犬の健康を守る基礎知識】ビタミンKは腸内細菌が合成している!
ビタミンKと聞いて「体内で〇〇に働くビタミンのことでしょ」と即答できるかたは、かなりのビタミン通ではないでしょうか。
ビタミンKは脂溶性ビタミン4種類(A・D・E・K)の中で、一番マイナーな存在といえるでしょう。そんなビタミンKですが、実は血液凝固やタンパク質の合成と代謝に関わっている重要なビタミンです。
今回は、「そんなビタミンあったっけ?」と言われがちなビタミンKについて解説します。
目次
ビタミンKは腸内細菌によって体内で合成されている
ビタミンK――。名前はあまり馴染みのないマイナー成分ですが、犬や猫、それから私たち人間も体内でビタミンKを合成することができます。
同じ脂溶性のビタミンDを人間は合成できても犬はほとんど合成できませんが、ビタミンKは人間も犬も自前で作ることができるんですね。
ただし、自前とはいっても厳密に言うなら真の自家製ではありません。私たち人間や犬達の体内でビタミンDを合成しているのは腸内細菌です。つまり、腸内環境が良い状態ではない場合、必然的にビタミンKが不足することになるんですね。
腸内環境の良し悪しは、まさしく犬の健康に直結しているのです。
ビタミンKは全部で7種類!天然に存在しているのは2種類だけ
ビタミンKと一括りで呼んでいますが、実はビタミンK1~K7まで7種類あります。
- ビタミンK1(フィロキノン)
- ビタミンK2(メナキノン)
- ビタミンK3(メナジオン)
- ビタミンK4(メナジオール)
- ビタミンK5(4-アミノ-2-メチル-1-ナフトール)
- ビタミンK6(1,4-ジアミノ-2-メチルナフタレン)
- ビタミンK7(4-アミノ-3-メチルナフタレン-1-オール、4-アミノ-3-メチル-1-ナフトール)
このうち天然に存在しているのはビタミンK1のフィロキノンとビタミンK2のメナキノンだけです。ビタミンK3のメナジオンは合成ビタミンKであり、サプリメントやドッグフードの栄養添加物として使われています。
また、ビタミンK4のメナジオールはK3のメナジオンの近縁種のため、やはり天然ものではありません。以下、K5~K7もカッコ内のややこしい名前を見れば、天然ものではないことは一目瞭然ですよね。
一般的にビタミンKといえばK1とK2のことなので、K3以下のややこしい名前を覚えておく必要はありません。
ビタミンK1とビタミンK2の違い
天然ビタミンの一つであるビタミンK1(フィロキノン)は、緑黄色野菜・藻類・植物油などに含まれています。
植物油の中では大豆油やなたね油に多く含まれていますが、とうもろこし油やサフラワー油には少ないことが判明しているので、植物油であれば何でもビタミンKが多いわけではありません。
そしてもう一つの天然ビタミンであるビタミンK2(メナキノン)は、腸内細菌が合成しています。つまり、体内で働く栄養素として最も重要なのは、このビタミンK2メナキノンなんですね。
実はメナキノンには1~14(MK1~MK14)までありますが、あまりにもややこしくなるのでここでは割愛します。
>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる』
ビタミンKの体内での働き
ビタミンKは犬の体内で血液凝固や骨の石灰化の調整に必要な成分です。
また、骨の形成を調節しているオステオカルシンというタンパク質の合成と代謝にも関与していますし、いろいろな酵素の補助因子としても働いています。存在としてはかなり地味なほうですが、実はとても重要なビタミンなんですね。
犬の体内でビタミンKが不足すると…
ビタミンKが欠乏すると、血液凝固に問題が生じます。要するに、血が止まりにくくなってしまうんですね。
皮膚の切り傷や擦り傷程度なら、見つけやすいのでそれなりに対処することも難しくないでしょう。しかし、全身のありとあらゆる箇所で血が止まりにくくなるからこそ、実はとても厄介です。
消化管で出血すれば血便となり、膀胱からの出血なら血尿の原因になります。被毛の下の皮膚で出血すれば紫斑などのアザができますし、脳内で出血すれば最悪は命を落としてしまうことも…。
犬は体内でビタミンKを合成できますが、腸内環境によっては1日の必要量を割り込んでしまうこともあります。
仮にお腹の調子に問題がなかったとしても、日頃から腸内環境が善玉菌優勢になるように心がけることは、何重の意味でも愛犬の体を守ることにつながるのです。
>『犬の「腸活」基礎知識|腸の温度を上げないと腸内環境は改善しない』
手作りご飯にビタミンKを含む食材を上手に取り入れよう
ビタミンKを多く含んでいる食材の中で、犬の手作りご飯に使いやすいのはブロッコリーや小松菜などの緑黄色野菜とキャベツです。
健康な犬はビタミンKの不足をそれほど心配する必要はありません。しかし、しっかり準備ができていれば、不足した場合の心配をする必要もないわけです。
そういった意味でも、腸内環境を良い状態に導く腸活を続けていれば、おのずとビタミンKは足りるというわけですね。
>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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