犬の強制給餌で体力を回復させたい!実践編

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犬の強制給餌は栄養・水分・薬をしっかり摂取させる有効な手段です。しかし、いざやろうとしたら全然思い通りにいかず、「想像してたのと違う!」と慌ててしまうことも。

 

  • ご飯を食べようとしない
  • 以前より飲水量が減って脱水の危険性が高まっている
  • 薬を飲ませたいのにぺっと吐き出してしまう

 

こういった事態になってから大慌てで強制給餌にチャレンジするより、元気なうちに練習しておくのが一番です。「そんな必要ある?」と思われるかもしれませんが、いつの日か必ず役に立ちますよ!

 

犬の強制給餌についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。

>『犬の強制給餌はメリットあり!体力を回復させる有効な手段

>『犬の強制給餌で役立つあれこれ|回復は一日にして成らず

口に入れた食べ物を飲み込む力のある犬には「半強制給餌」

 

食べ物を口に入れてやりさえすれば、自ら飲み込む力のある犬に行う強制給餌は「半強制給餌」と呼ぶこともあります。要するに、マイルドな強制給餌のことですね。

 

半強制給餌は次のような犬に適した給餌方法です。

 

  • ある程度普通に動けるものの、なんらかの原因で食欲が低下している、あるいは食に対する興味を失って自発的に食べなくなった犬。
  • なんらかの原因で寝たきり、あるいは寝たきりに近い状態ではあるものの、食欲は失っていない犬。

 

加齢による影響で、シニア期に入った犬の食欲や飲水量がガクンと低下してしまうことは珍しくありません。

 

そのような時は、食欲をかきたてようとトッピングに頼り過ぎた結果栄養バランスを崩してしまうぐらいなら、早めに半強制給餌に切り替えたほうが体調管理がしやすいといえるでしょう。

 

>『愛犬を大切な家族の一員にする為の絶対条件とは?ここに大きな秘密が・・・

 

犬の半強制給餌:飼い主さんの手から食べさせる

器に持ったご飯は食べようとしないのに、飼い主さんが手で与えると食べることがあります。そのような場合は、「おいしいね!」「おりこうだね!」とたくさん褒めながら、どんどん手で食べさせてあげましょう。

 

手からしか食べないのは甘えているから!しつけに悪い!」などと批判的な見方をする人もいるようですが、はたしてそうでしょうか。

 

これまでは器に持ったご飯を当たり前のように食べていた犬が自発的に食べなくなる――ここには必ず理由があるはずです。

 

体調が悪くて食べようとしない犬もいますが、加齢などが原因で空腹感そのものを感じにくくなることもあります。そのような犬にとっては、飼い主さんの手とセットになっているからこそ、食べ物に意識が向くのではないでしょうか。

 

食べない日が続いてしまうと、早晩犬は体調を崩すことになります。それを防ぐには、「きちんと食べる」ことが何よりも重要なんですよね。

 

ただし、多少は飼い主さんの手から食べたとしても、完食には至らないこともあります。そのような場合は、次の方法を試して完食を目指しましょう。

 

 

上あごに塗りつける

ペースト状にした食餌を指にとり、犬の口の中の上あごに塗ります。ぐりぐりとすりつけるのではなく、指ですくったクリームを上あごに軽いタッチで塗り付けるようなイメージです。

 

前歯が残っている犬なら、口の中に入れた指を引き抜く際に歯列でペーストをこそげとる方法もあります。

 

前歯の前面に塗りつける方法もありますが、口の小さな犬は塗りつけられる面積がかなり限られてしまうため、マズルの詰まった犬にはあまり適していません。

 

ある程度の量を一回で口に入れるには、やはり上あごか前歯の裏側にペーストを付ける方法がおすすめです。

 

ただし、この方法は飼い主さんが犬の口内に指を入れても嚙まれないことが大前提。

 

これまでに一度も愛犬に噛みつかれたことがなかったとしても、いきなり口の奥まで指を突っ込んでしまうと、驚いた愛犬に嚙みつかれるかもしれません。

 

最初からいきなり奥深くに指を突っ込むのではなく、浅いところから少しずつ慣らしていくことが大切です。

 

 

頬の内側に塗りつける

ペースト状にした食餌を指にとり、犬の口の横から左右どちらかの頬と奥歯の間に塗りつける方法もあります。

 

上あごに塗りつける場合は犬の顔の正面から指を入れますが、頬の内側の場合はサイドから指を差し込むため、視覚的に犬を緊張させにくい方法といえるでしょう。

 

愛犬は基本的に噛まないはず。でも、ひょっとしたら噛むかも…?という場合は、いきなり上あごにトライするより、まずは頬の内側から練習することをおすすめします。

 

ただし、ペーストを入れる側の奥歯に歯垢がつきやすくなるため、歯磨きの際は念入りに磨いてください。これは前歯の裏側に付ける場合も同様です。

 

 

団子状にまるめて口に入れる

食餌を団子状にまるめられるぐらいの固さ(簡単に指でつぶれる程度)に仕上げ、犬が飲み込みやすいサイズにしてから食べさせる方法です。

 

食欲がある犬の場合はこの方法でパクパク食べてくれますが、食欲がない場合は見向きもしてくれません。その場合の対処法は記事の後半にありますので、そちらを参照してください。

 

 

半強制給餌では完食を目指せない犬の本格的な「強制給餌」

 

半強制給餌では食べさせたい(あるいは飲ませたい)量をすべて体に入れられない場合、本格的な強制給餌に切り替える必要があります。

 

食欲はあるけれど寝たきり(首を上げたままにするのが困難)の犬には、無理に半強制給餌を続けるより、シリンジを使った強制給餌のほうがむしろ食べさせやすいといえるでしょう。

 

食欲があるのにシリンジを使うなんて…、と抵抗感のある飼い主さんもいらっしゃいますが、食欲のある犬はシリンジからでも大喜びで食べてくれるので、あまりナーバスになる必要はありません。

 

大切なのは、必要な量を的確に摂取させることです。そこに「美味しい」「嬉しい」という付加価値が加わればなお良いため、半強制給餌・強制給餌のどちらでもスムーズに行える方法を選択してください。

 

どういう給餌方法を選択するにせよ、ハッピーな雰囲気を演出できるのは飼い主さんだけです。愛犬に食欲があってもなくても、常に楽しいお食事タイムを提供してあげましょう。

 

犬の強制給餌:シリンジを使って食べさせる

シリンジとは、簡単に言ってしまえば注射針がついていない注射器のことです。筒の中に吸引した液体に近いドロドロのペーストを、犬の口内に押し出すために使います

 

通常の注射器では先端部分が細すぎて食べ物が詰まってしまうため、犬猫など小動物の強制給餌用に作られている、先端が太めのタイプを選びましょう。

 

 

シリンジを使った強制給餌のポイント

  • シリンジの先端には歯茎や舌を傷つけないよう、柔らかなシリコンチューブを取り付ける。

 

  • シリンジによる強制給餌に慣れるまでは、犬歯と奥歯の間の隙間から先端を差し込むのがおすすめ。慣れたら愛犬と飼い主さんが一番やりやすい位置でOK。

 

  • 喉に近いところまでシリンジを突っ込むとむせやすく、浅すぎるとペーストが口からこぼれやすい。シリンジの先端をどこまで挿入するかは、何度かトライしてコツをつかむことが大切

 

  • シリンジの容量が多すぎると片手でピストンが押せず、結果として使いにくい。シリンジに最大量を詰めた状態でピストンを親指で押せるかどうかがサイズ選びの基準。(初心者は10~15mlタイプがおすすめ)

 

  • シリンジの本数は多ければ多いほどスムーズに強制給餌が行える。小型犬でも最低5本は用意しておきたいが、詰め替えなしで一食分を済ませるとしたら20本程度は必要。

 

  • 一人で強制給餌を行う場合は「食べさせる」と「シリンジに詰める」の両方を一人で行う必要あり。二人いれば役割分担できるため、強制給餌がスムーズに行える。

 

犬の強制給餌:スプーンを使う

犬の強制給餌の定番といえばシリンジですが、スプーンを使って食べさせる方法もあります。

 

ただし、自発的に食べようとしない犬の口に食べ物を入れるわけですから、スプーンごと強制的に口の中に入れなければなりません。

 

そのため、最も注意しなければいけないのは次の2点です。

 

  • スプーンの素材は先端が柔らかくしなるシリコン製

 

  • スプーン部分は犬の口にスムーズに入れやすい平たい形状がベスト

 

強制給餌に使うスプーンは、あれこれ悩むより市販されている「犬の強制給餌専用スプーン(シリコン製)」を選択しましょう。

 

100円ショップでもシリコン製のスプーンは販売していますが、専用スプーンに比べると先端がやや固めにできているのでおすすめできません。

 

専用のシリコンスプーン(500円~1500円程度)はスプーンの先端が指で簡単に反り返るほどソフトな仕様です。ケチらずこちらを選びましょう。

 

 

スプーンを使った強制給餌のポイント

  • ペーストを緩くしすぎるとこぼれやすくなるため、少し固めに仕上げる。

 

  • 前歯のない老犬に使う場合は、先端が平らなタイプのスプーンを使うと歯茎の隙間からスプーンが簡単に差し入れやすいので便利。

 

  • 犬が口を開けようとしない場合は、スプーンを持っていない方の手で下あごをつかみ、口の両側から指を入れて口を開けさせる

 

  • 上記の方法でも口が開かない場合はマズルを上から軽くつかみ、左右の唇びるをめくりあげる(牙が丸見えになるぐらい)。すると上下の歯列に隙間があきやすくなるため、そこからスプーンを挿入する。(先端が平らなスプーンがおすすめ)

 

 

強制給餌を嫌がって暴れるときの対処法

 

ある程度動ける犬に強制給餌をしようとしても、思いのほか嫌がって暴れることがあります。

 

自力で動き回れる犬の場合は、小型犬であれば膝の上に抱きかかえてしまい、体の動きを制限した状態で強制給餌を行いましょう。

 

ただし、犬の腰になんらかの問題がある場合は、膝の上に座らせる姿勢だと腰椎などに負担がかかることもあります。そのような場合は無理をして抱き上げるのではなく、伏せの状態で体が動かしにくいように飼い主さんの足で固定する、あるいはブランケット等で体を包むといった方法を試してください。

 

顔をブルブル振って全力でシリンジを拒否する犬の強制給餌

強制給餌をしようとすると逃げ出す犬は抱き上げてしまえば済みますが、一番厄介なのは顔を振ってシリンジを全力拒否する犬です。

 

こういった場合は無理にシリンジを使うより、団子を使った強制給餌のほうが食べさせやすいといえるでしょう。

 

ただし、団子を自力で食べるとは限りません。食べない場合は団子を口の中に放り込み、咀嚼なしで飲み込ませる必要があります。(咀嚼を期待すると、ペッと吐き出すことも…)

 

そのため、強制的に団子を飲み込ませる場合は、団子の大きさをかなり小さくしなければなりません。何度も飲み込ませるのは面倒だからと大きめの団子にしてしまうと、喉に詰まらせる危険性があるので絶対にNGです。

 

 

強制給餌+自発的な食欲をかきたてる努力が大切

 

強制給餌100%になったとしても、体調の改善によって愛犬が食欲を取り戻すことは珍しくありません。

 

強制給餌をしている最中に「今日は食欲があるかも?」と感じたら、手から食べさせたり器に少量盛りつけるなどし、自力で食べるか試してみましょう。

 

完食までには至らなくても、少量だけは自力で食べるようになることもあります。また、主食は自発的に食べなくても、大好物のオヤツだけは自力で食べるようになることも。

 

強制給餌にしたあとも、自発的な食欲をかきたてる努力はし続けましょう。たった一口だったとしても、愛犬にとっても飼い主さんにとっても、間違いなく嬉しい一口になるはずです。

 

今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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この記事を書いた人

坂田剛

(株)ラクト・ラボ代表取締役。20年間健康美容業界に携わり犬達の世界が人間と同じように生活習慣病が増え始めてきたことをきっかけに15年前に犬のサプリメント販売ラクト・ラボを起業。2018年に法人化。趣味は愛犬とキャンプに行き大自然とふれあいリフレッシュすること。

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