【犬の血液検査の見方➁】血球検査・白血球・血小板編

犬の血液検査の結果をくまなく見ていくと、これまで考えたことがなかったことに思い当たることがあります。
たとえば、総たんぱく(TP)の値が正常値の下限ギリギリで、クレアチニン(Cre)の値が上限ギリギリだったとしましょう。
今は元気いっぱいに見えても、実は腎機能の衰えが進んでいて、食べたものの栄養素が十分に吸収できなくなりつつあるのかもしれません。
早期に体調異変の兆候を見つけることができたら、打つ手はいくつも考えられます。血液検査の結果には、そのためのヒントが隠されているのです。
目次
血球検査|白血球の数値が教えてくれること
血球検査のうち、白血球の状態について調べているのは次の項目です。
白血球数(RBC
血液中の白血球の総数を表しています。白血球はさらに5つに分類することで、体内の異常を細かく見ることが可能です。
正常値より少ない → パルボ ウィルスの感染、骨髄異常の疑いあり。
正常値より多い → 細菌などの感染・中毒・組織の壊死・炎症などの疑いあり。
好中球数(Neu)
5つに分類した白血球の一つ。体内に侵入した細菌等の異物を処理し、外敵から体を守る役割をもちます。
正常値より少ない → ウィルス感染または細菌感染の疑いあり。
正常値より多い → 慢性的なストレス、慢性的な炎症の疑いあり。
リンパ球数(Lym)
5つに分類した白血球の一つ。免疫機能をつかさどる免疫細胞の一種です。
正常値より少ない → 強いストレス、ウィルス感染の疑いあり。
正常値より多い → 慢性的な炎症、リンパ性白血病などの疑いあり。
単球数(Mon)
5つに分類した白血球の一つ。体内に侵入した異物を貪食(取り込んで分解すること)し、外敵から体を守ります。
正常値より少ない → 骨髄の病気の疑いあり。
正常値より多い → 慢性的な炎症、組織壊死の疑いあり。
好酸球数(Eos)
5つに分類した白血球の一つ。主にアレルギー反応の制御を行っています。
正常値より少ない → 強いストレスの疑いあり。
正常値より多い → アレルギー疾患・寄生虫・腫瘍などの疑いあり。
好塩基球(Bas)
5つに分類した白血球の一つ。免疫反応、あるいはアレルギー反応に関与しています。
正常値より少ない → 感染・アレルギー疾患・甲状腺異常などの疑いあり。
正常値より多い → 慢性的な炎症・内分泌疾患の疑いあり。

血球検査|血小板の数値が教えてくれること
赤血球や白血球に比べていまひとつ役割が見えにくい血小板ですが、「止血」というとても重要な役割を担っている血球です。
なにかの原因によって血管が破れて血液が漏れ出すと、血小板は破損個所に付着して破損個所を塞ぎます。
正常値より少ない → 慢性的な出血・骨髄疾患・免疫疾患・バベシア症などの疑いあり。
正常値より多い → 急性的な出血・慢性的な感染・免疫疾患の疑いあり。
血球検査・番外編|網状赤血球数が教えてくれること
【犬の血液検査の見方➁】では白血球と血小板に関する血液検査結果の見方について解説していますが、番外編として「網状赤血球数(RET)」についてもふれておきましょう。
網状赤血球というのは、再生途中の未成熟な赤血球のことをいいます。骨髄での造血能力が正常に機能しているかを知ることができる項目のため、貧血の犬の原因特定において、とても重要な項目です。

血液検査の結果に一喜一憂するのではなく、指標とすることが大切
「【犬の血液検査の見方①】血球検査・赤血球編」では赤血球に関する項目を。「【犬の血液検査の見方➁】血球検査・白血球・血小板編」では白血球と血小板に関する項目について解説しました。
血球だけをとっても驚くほどの項目数ですが、実際の血液検査でこれらすべての項目を調べることはほとんどありません。
疑われる病気に関する項目を重点的に検査することになります。
飼い主さんの多くは血液検査の結果を見た時、数値が正常値におさまっていればホッとし、正常値を外れているとギョッとするのではないでしょうか。
しかし、血液検査の結果はたった1回ですべてを判断できるわけではありません。
ここ最近愛犬が食べていたご飯の内容や、環境が変わった直後のストレス等で思わぬ数値が上がったり下がったりすることもあります。
大切なのは血液検査の結果に一喜一憂するのではなく、採血した瞬間の愛犬の体内がどのような状態なのかを知ることではないでしょうか。
それにより、今後どのような食事内容にすればいいか、あるいは治療が必要な病気が隠れていないかなどを判断していくことが大切です。
血球検査の血球検査と赤血球の項目についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
血球検査の生化学検査の項目についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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