【犬の血液検査の見方①】血球検査・赤血球編

愛犬が血液検査を受けたとしても、下痢や嘔吐といった体調不良がない限り、多くの飼い主さんは結果の数値をあまり細かくチェックしていません。
獣医師に「特に問題になるようなことはありませんでした」と言われれば、「うちの子は健康なんだ、良かった!」とホッとするのは当たり前ですよね。
しかし、それではあまりにもったいない!
なぜなら、血液検査の結果は愛犬の体の中をまるごと映している鏡であり、この先起こりうる体調不良を占う指標でもあるからです。
目次
血液に全身の情報が詰まっているのは、全身を駆け巡る臓器だから
犬の足や首元など、体の外側から採血した血液で内臓の状態がわかるのはなぜでしょうか。それは、血液が全身を駆け巡りながら様々な働きに関与しているからです。
血液は血管の中を流れて全身を駆け巡る間に、次のような働きを行っています。
- 全身のありとあらゆる細胞に酸素と栄養を運ぶ
- 全身に熱エネルギーを運ぶ
- 二酸化炭素を肺へ運ぶ
- 代謝によって生じた老廃物を肝臓や腎臓へ運ぶ
- 体内に侵入したウィルス・細菌・カビなどの異物を排除する
- 血管の破れを直して止血する
改めて見てみると、血液の働きは生命そのものだとわかるのではないでしょうか。これだけ重要な役割を担っている血液でありながら、実は臓器の一種に分類されていることはあまり知られていません。
血液は骨髄やリンパ節と同様に、造血器に分類されている臓器です。とはいえ見た目が液体なので、臓器と言われてもなんだかピンときませんよね。

犬の血液検査は「血球検査」と「生化学検査」の2つが基本
犬の血液検査は、「血球検査」と「生化学検査」の2つに分類されており、さらにそれぞれ細かく項目がわかれています。
血球検査(CBC)とは
簡単に言えば、「体全体の状態を調べるための項目」です。赤血球・白血球・血小板などの大きさや数(血球計算)を調べ、「体内に炎症は起きていないか」「貧血ではないか」「骨髄の造血能力は正常か」といった内容を把握します。
ちなみに「CBC」というのは世界標準の検査項目のことで、完全血球検査(Complete Blood Count)の略です。
生化学検査(Dry Chem)とは
「臓器あるいは器官の状態を調べるための項目」です。試薬で血液に化学反応を起こすことで、血液中に含まれている酵素やホルモンの量を測定しています。
これにより、肝臓や腎臓など臓器個別の状態が把握できるわけですね。
※血液検査の項目は全体をみていくとかなりのボリュームになるため、生化学検査の項目については「【犬の血液検査の見方③】生化学検査」で詳しく解説します。

血球検査|赤血球の数値が教えてくれること
血球検査のうち、赤血球の状態について調べているのは次の項目です。
赤血球数(RBC)
赤血球の数を表しています。
正常値より少ない → 貧血・出血・腎臓病などの疑いあり。
正常値より多い → 脱水・多血症・興奮による血液濃縮の疑いあり。
ヘモグロビン濃度(Hgb)
赤血球の主成分であるタンパク質の量を表しています。
正常値より少ない → 貧血・ビタミン不足・造血機能の低下などの疑いあり。
正常値より多い → 脱水や興奮による血液濃縮の疑いあり。
ヘマトクリット(HCT)
血液中に占める赤血球の体積の割合を示しています。
正常値より少ない → 貧血・骨髄の異常などの疑いあり。
正常値より多い → 多血症・脳梗塞などの疑いあり。
平均赤血球容積(MCV)
赤血球1個の平均の大きさを表しています。
正常値より小さい → 鉄欠乏性貧血・慢性炎症による貧血の疑いあり。
正常値より大きい → ビタミンB12欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血の疑いあり。
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCH)
赤血球1個に含まれているヘモグロビン量の平均を表しています。
正常値より低い → 鉄分が不足している。
正常値より高い → ビタミンB12・葉酸が不足している。
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)
赤血球に含まれているヘモグロビンの平均濃度を表しています。
正常値より低い → 鉄欠乏性貧血・鉄の摂取量不足などの疑いあり。
正常値より高い → 脱水・多血症などの疑いあり。

犬の血液検査を一つ一つ丁寧に見ていくと愛犬の体の中が見える
血液検査は必要に応じて項目を選択するため、一度の検査ですべての項目が把握できるわけではありません。
しかし、血球検査の中の赤血球一つをとっても、実はこれだけのボリュームがあります。
仮にすべての項目が正常値の範囲内におさまっていたとしても、あと少しで正常値を下回る、あるいは正常値を上回る状態かもしれません。
だからこそ、フィラリア予防の事前検査を含め、せっかく血液検査をしたらすべての項目に一度は目を通しておくことをおすすめします。
血球検査の白血球と血小板の項目についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
血球検査の生化学検査の項目についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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