【犬の手作りご飯】果物は栄養バランスを整えるお助け食材
犬は肉食獣に近い雑食動物だから、肉類メインの高タンパクな食事にすべき――という意見にはもろ手を挙げて賛成できません。
なぜなら現代を生きる犬達が摂取する肉類は、獲物まるごとではなく「食肉」だからです。いわゆる「肉」に分類される特定の部位しか食べないので、栄養がタンパク質や脂質などに偏ってしまうんですね。
もちろん、犬にとってタンパク質や脂質が重要な栄養素であることは言うまでもありません。しかし、炭水化物・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂取してこそ、タンパク質や脂質もまた活かされるのです。
だからこそ、野菜や果物をバランス良く食事に取り入れることは、しっかりタンパク質を摂取することと同様に重要。というわけで、今回は犬の食事に取り入れる果物について考えてみたいと思います。
目次
犬の食事における果物は栄養バランスの偏りを調節する役割
そもそもの前提として、果物は犬に食べさせてもよい食材です。ただし、果物であればなんでもOKというわけではありません。
というのも、種類によっては犬が食べると中毒を引き起こす成分が含まれている果物があるからです。
しかし、「犬が食べられる果物」と「食べられない果物」の種類を比べると、実は食べられる果物のほうが多く、思った以上に食の幅を広げることができます。
とはいえ、犬の食生活における果物は、スポーツにおけるスーザーサブのような役回りと考えるべきでしょう。(※スーパーサブ/試合の流れに応じて戦略的に投入される、優れた能力を持った控え選手のこと)
肉類や穀物などのスタメン食材のように毎食顔を出すのではなく、「ここぞ」という場面で登場させるのが一番。つまり、生で食べさせられる利点を活かすべく、ビタミン・ミネラル・ポリフェノール・酵素などを補いたいタイミングで食べさせるのが、果物の最も有意義な使い方です。
>『【犬の手作りご飯】穀物は悪者じゃない!犬の大切な栄養源』
犬が食べてもよい果物と、食べてはいけない果物
犬に食べさせてもよい果物
犬に食べさせてもよい果物とは、犬に中毒を引き起こすような成分が含まれていない果物のことです。
バナナ・スイカ・りんご・ブルーベリー・クランベリー・アセロラ・梨・桃・いちご・キウイフルーツ・びわ・柿・メロン・みかん・パイナップル・マンゴー・さくらんぼ(種はNG)
犬に食べさせてもよいが、あまり推奨しない果
可食部分に犬に中毒を引き起こすような成分は含まれてはいませんが、犬があまり好まないにおいや味(酸味・苦味)のある果物です。
オレンジ・レモン・グレープフルーツ
犬に食べさせてはいけない果
犬に中毒を引き起こす成分が含まれている果物です。さくらんぼの可食部分は犬に食べさせてもOKですが、種に含まれているアミグダリンは体内でシアン化水素(青酸)を生じさせる作用があるため危険です。
ぶどう・いちじく・プルーン・さくらんぼの種
犬に果物を食べさせるときに注意すること
- 果物には果糖が多く含まれているため、食べさせすぎは肥満のもと
- 食物繊維やカリウムの量に注意
- 皮を剥く、筋や種を取り除くといった一手間を惜しまない
- 飲み込んだときに喉に詰まらない大きさにカット
犬の食生活に取り入れやすい果物
犬に食べさせてもよい果物の中で、比較的手に入れやすいものについてご紹介します。ただし、犬の体質によって食べさせないほうがよい場合もありますので注意してください。
犬が食べてもよい果物:バナナ
ブドウ糖や果糖など炭水化物の含有量が多く、エネルギー補給に役立ちます。食べさせるときは皮を剥き、白い筋もていねいに取り除きましょう。
- カリウムの含有量が多いため、腎臓の数値に問題のある犬は要注意
- 少量であれば便秘改善に効果あり
- 下痢・軟便の犬は要注意
犬が食べてもよい果物:スイカ
スイカは約9割が水分のため、糖分とミネラルを含んだ水分補給の役割が期待できます。食べさせるときは種を取り除き、赤い可食部分だけを切り出しましょう。
- カリウムの含有量が多いため、腎臓の数値に問題のある犬は要注意
- 利尿作用が強いため、膀胱炎になりやすい犬におすすめ
- 食物繊維が少ないため、少量なら下痢や軟便になりやすい犬もOK
犬が食べてもよい果物:りんご
水溶性食物繊維ペクチンは皮と実の間に多く含まれていますが、残留農薬の問題を考えると、有機リンゴ以外は皮を剥いたほうが安心です。種と芯もしっかり取り除きましょう。
- ペクチンは整腸効果が期待できるため、便秘気味の犬におすすめ
- 吐き戻し防止のためにも、基本的にスライスより擦りおろしが良い
- 低カロリーのためダイエット用の食材としても使いやすい
犬が食べてもよい果物:ブルーベリー
ブルーベリーにはビタミンC・ビタミンE・βカロテン・アントシアニン・ルテインなど抗酸化成分が多く含まれています。食べさせる際に皮を剥く必要はありませんが、しっかり潰して消化しやすい状態にしてから与えましょう。
- お腹の調子に問題のない老犬におすすめ
- 食物繊維が多いため、下痢や軟便をしがちな犬は要注意
- 皮膚が乾燥しやすい犬におすすめ
犬が食べてもよい果物:梨
梨は約9割が水分のため、水分補給に使えます。しかしスイカの約3倍ほど食物繊維が含まれているため、お腹が敏感な犬は注意が必要です。皮・種・芯を取り除き、薄くスライスするか、すりおろしてから与えましょう。
- 下痢や軟便をしやすい犬は注意が必要
- 体を冷やす作用があるため、熱中症予防を目的とした水分補給におすすめ
- カリウムを比較的多く含むため、腎臓の数値に問題のある犬は要注意
犬が食べてもよい果物:いちご
いちごにはキシリトールが含まれていますが、量そのものは微量です。少量食べさせる程度であれば、あまり心配しすぎる必要はありません。与える際は必ずヘタを取り、細かくしておきましょう。
- カリウムの含有量が多いため、腎臓の数値に問題のある犬は要注意
- 少量であれば便秘改善に効果あり
- ビタミンCを多く含むため、老犬におすすめ
犬が食べてもよい果物:キウイフルーツ
キウイフルーツにはビタミンCが豊富です。さらには犬の必須微量栄養素である銅も比較的多く含まれています。与える際は皮を剥き、できれば種も取り除いたほうが消化不良を回避しやすくなります。
- タンパク質分解酵素を含むため、肉類を多く食べる際の補助食品として
- 食物繊維が多いため、下痢や軟便をしやすい犬は要注意
- カリウムの含有量が多いため、腎臓の数値に問題のある犬は要注意
犬が食べてもよい果物:柿
柿はビタミンC・βカロテン・ペクチン・タンニンなどを含む栄養豊富な果物です。また、水溶性食物繊維ペクチンを多く含んでいるため、整腸作用の効果が期待できることも特筆ポイントといえるでしょう。
- 体を冷やす作用があるため、下痢・軟便をしやすい犬は要注意
- お腹の調子に問題のない老犬におすすめ
- 口内炎ができやすい犬におすすめ
>『【犬の手作りご飯】緑黄色野菜|犬の体調に合わせた選び方』
犬に与える果物は「おやつ代わりに少し」程度がベスト
犬は甘味を好む生き物です。そのため多くの犬は果物を喜んで食べますが、だからといって欲しがるままに与えてしまったら、せっかくの果物の効果が活かせません。
今までに市販のおやつを与えているなら、そのおやつ代わりに果物を選択する、あるいは一日おきに食後のデザートとして少しだけ食べさせる、といった程度の取り入れ方がベストといえるでしょう。
食べ物の栄養バランスは日によって少しずつ形を変えています。愛犬の行動や排泄物をしっかり観察しながら、「少し尿の出が悪いから、おやつ代わりにスイカを食べさせてみよう」といった使い方が、最も果物の恩恵が受けられるのではないでしょうか。
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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