【愛犬の健康を守る基礎知識】ミネラルは単体よりバランス重視が基本
ミネラルは愛犬の健康を維持するうえで、欠かすことのできない成分です。主要と微量を合わせて全15種類あり、その一つ一つが体内で重要な働きを担っています。
とはいえ、必要とされる量はそれぞれ微量。体に良さそうな成分をピンポイントでたっぷり摂らせたくなりますが、どのミネラルも過剰摂取は厳禁です。
ミネラルは単体で考えても効果は期待できません。バランス良く摂取してこそ、一つ一つのミネラルが体内でしっかりと働いてくれるのです。
目次
カルシウムとリンのバランス
カルシウムといえば「骨を作るミネラル」のイメージが強いですよね。しかし、カルシウムが担っている役割はそれだけではありません。
- 神経刺激の伝達
- ホルモンの分泌
- 筋肉の収縮と弛緩
- 血液の凝固
カルシウムは生きるうえで、絶対に欠かすことのできないミネラルです。しかし、だからといってカルシウムばかり摂取すればいいというわけではありません。
カルシウムはリンとのバランスが重要であり、カルシウム:リンの比率は1:1~2:1が適切と考えられています。
このバランスが大きく崩れてカルシウムが過剰になってしまうと、骨の形成異常を引き起こして骨軟骨症や股関節異形成の原因になることも。
さらには亜鉛の吸収を阻害してしまい、免疫不全や皮膚の異常を引き起こすことが指摘されています。
カルシウム・リン・マグネシウムのバランス
ミネラルと聞いて即マグネシウムを思い浮かべる方はおそらく少数だと思いますが、実は犬にとって主要ミネラルの一つに数えられています。
マグネシウムは体内のエネルギー代謝になくてはならないミネラルであり、心臓の健康維持に欠かせません。また、カルシウムやリンと同様に骨や歯の重要な構成成分でもあります。
しかし、カルシウムとリンの摂取量が多くなり過ぎると、マグネシウムの吸収率が下がってしまうことに。ところがマグネシウムが足りないと、骨や歯の重要な構成成分であるリン酸カルシウムが安定して定着しないという、なんともややこしい関係性があります。
>『【犬の手作りご飯】ミネラル豊富な質の良い塩分を選んでいますか?』
ナトリウムとカリウムのバランス
人間の食事と同じように犬の食事にも減塩が叫ばれる昨今ですが、闇雲に塩分を減らすことは愛犬の健康につながりません。
というのも、塩分(塩化ナトリウム)とカリウムは共に働いてこそ意味のある、車の両輪のような関係だからです。
ナトリウムは血漿(血液中の赤血球・白血球・血小板を除いた液体成分のこと)に含まれている主なミネラル。そしてカリウムは細胞内に含まれている主なミネラルです。
ナトリウムとカリウムの関係を詳しく述べるとちょっとややこしくなってしまうので、ここでは簡単に説明すると――。ナトリウムとカリウムによって細胞の浸透圧のバランスを保ち、水分量や栄養素運搬の調整をしています。
もっと噛み砕いてざっくり言うとしたら、ナトリウムが過剰になると高血圧を引き起こし、カリウムが過剰になると不整脈から心停止。要するに、そのどちらにも偏らないバランスが健康な体を維持するというわけですね。
鉄分とリンの関係
鉄は赤血球中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンの重要な構成成分です。特にヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を担っているわけですから、まさしく命に直結していると言えるでしょう。
だからこそ、鉄分不足による貧血を防ぐ目的で鉄分をたっぷり摂らせたくなりますが――。
過剰な鉄分摂取はリンの吸収を妨げることになります。その効果を利用して腎不全の犬のリン吸着剤として鉄剤が使われるわけですが、これをすべての犬にあてはめてはいけません。なぜなら、健康な犬にとってリンは必要不可欠なミネラルだからです。
老犬の飼い主さんなどには、摂取させてはいけない成分と誤解されることもありますが、本来リンは必要なミネラル。細胞膜や歯・骨の構成成分のため、犬の体は適切な量を必要としているのです。
亜鉛とカルシウム・リンの関係
亜鉛は犬の体にとって微量必須ミネラルの一つです。とはいえ、全身に分布しているわりに、どの組織においても亜鉛の濃度はかなり低いため、なんとなく見過ごしてしまいがち。
しかし、代謝や酵素機能に深く関わっており、細胞の複製にも欠かせない重要なミネラルです。
大事なミネラルでありながら地味で目立たない亜鉛ですが、カルシウムやフィチン酸塩(有機リン酸化合物)の過剰摂取により、吸収率が下がることが指摘されています。
つくづく、ミネラルは特定の種類を多く摂取するのではなく、全体のバランスが大切なんですよね。
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今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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