犬の抜け毛は多いのが当たり前?病気の兆候を見逃さないことが大切
犬と暮らすうえで、被毛のお手入れは欠かせません。ダブルコートの犬ならこまめなブラッシングが絶対的に必要。日々抜け毛をきれいに取り除いておかないと、換毛期にはとんでもないことになりますよね。
また、抜け毛が少ないシングルコートの犬だからといって、お手入れをしなくてよいわけではありません。定期的なカットを怠れば、あっという間にボサボサの見苦しい犬一直線になってしまうことでしょう。
さて、そんな犬の被毛問題ですが――。
最近やたらと抜け毛が多いと思っていたら、実は病気のサインという可能性もあります。
目次
病気が原因の抜け毛には必ず別の症状が隠れている
毛が生えてから抜け落ちるまでのサイクルが自然なものであれば、仮に愛犬の体から信じられない量の毛が抜け落ちたとしても、基本的に何か異常を感じることはないはずです。
ダブルコートの犬の換毛期は、「こんな小さな体に何本毛が生えているの!?」と悲鳴を上げたくなるほどの抜け毛がありますよね。その抜け毛をせっせとスリッカーブラシ等で取り除いたとしても、皮膚が露出することはありません。
しかし、なんらかの体調不良で抜け毛が多くなっているとしたら、たいていはハゲができているものです。
仮にハゲとまではいかなくても、正常なサイクルより前に抜け落ちてしまった部分は毛切れが起きているため、完全に皮膚は露出してなかったとしても、かなり薄く見えるはず。
もしも愛犬の被毛のお手入れをしていて、「最近なんだか薄毛の部分が気になるなぁ」と感じたら、その抜け毛は正常なものではないと判断したほうがよいでしょう。
痒みをともなう犬の脱毛
愛犬の抜け毛が多いと感じたら、ここ最近の行動をよく思い返してみてください。というのも、犬の脱毛はなんらかの皮膚トラブルが原因のことが多く、その場合の多くは痒みをともなうことがほとんどだからです。
- 後ろ足で頻繁に体を搔いている
- 四肢の先端や脇の下、内股などをやたらと口で噛んでいる
- 壁や床などに体をこすりつけることが多くなった
もしも上記のような行動に心当たりがあるときは、いますぐに脱毛している部分をよく観察してみましょう。
- 皮膚が赤くなっている
- フケのような白い粉が付着している(皮膚)
- 黒っぽいものが付着している(ノミの糞)
抜け毛はさほど多くなかったとしても、体の一部をやたらと掻いたり噛んだりしていたら、皮膚になんらかのトラブルが起きているサインです。
被毛が多く生えているところはもちろんのこと、外側からは見えにくい脇の下や内股なども、しっかり調べることが大切です。
抜け毛と痒みをともなう犬の病気
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 犬疥癬
- 犬の毛包虫症
- 皮膚糸状菌症
- マラセチア皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 膿皮症 など
痒みをともなわない犬の脱毛
犬の抜け毛が多いのに痒みをともなっていないとしたら、内分泌疾患を発症している可能性が考えられます。
犬の内分泌疾患:クッシング症候群
副腎の皮質部分の機能が高い度合に進んでしまったことで発症する病気です。そのため、副腎皮質機能亢進症とも呼ばれています。
- 脱毛が体の左右対称に起こる
- 被毛の感触がゴワゴワと硬く感じるようになる
- 皮膚に白っぽいものの沈着が起きる(石灰化)
- やたらと水を飲み、尿量が増える(多飲多尿)
クッシング症候群のほとんどは、シニア期以降に発症します。投薬治療によるホルモン量のコントロールで症状は緩和されていきますので、もしもクッシング症候群と診断されたら適切な治療を続けるとともに、免疫力が低下しないよう念入りに腸活に努めましょう。
犬の内分泌疾患:甲状腺機能低下症
甲状腺の機能が低下することにより発症する病気です。被毛の生え変わりに関連するホルモン(チロキシン)の分泌低下によって脱毛が起こります。
- 腹部、首、尾などに部分的な脱毛がみられる
- 皮膚の黒ずみ
- 元気がなくなり運動を嫌がるようになる
- やたらと寒がるようになる
基本的に完治は難しいとされていますが、甲状腺ホルモン剤の投与によって症状をやわらげることが可能です。
甲状腺機能低下症はクッシング症候群と併発することも多いため、痒みをともなわない脱毛に気づいたら、すみやかにかかりつけの動物病院を受診しましょう。
おかしいと感じたらすぐに対処を
犬の抜け毛が多いのは当たり前――。そんな感覚で適当に流していると、病気のサインを見逃してしまうかもしれません。
毎日愛犬と一緒に過ごしている飼い主さんの「なんか変かもしれない?」という感覚は、意外なほどに当たっているものです。
いろいろ調べてみたけれど結果としてなんともなかったとしたら、それは「余計な心配」をしたのではありません。「病気の兆候ではなかった」と確認する正しい判断ができたのです。
「あの時気づいていれば…」という後悔は、決して先には立ってくれません。だからこそ、私たち飼い主は愛犬の体の隅々までを頻繁に観察する必要があるのです。
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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