犬の鼻血は放置厳禁!歯周病の悪化、あるいは熱中症の可能性も…
私たち人間は、誰もが1度や2度は鼻血を出した経験がありますよね。これに対して、犬はほとんど鼻血を出しません。つまり、犬が鼻血を出しているとしたら、それはなんらかの異常事態が起きていると考えるべきなんです。
もしも愛犬が鼻血を出しているのを見つけたら、放っておいてもそのうち止まるだろうと楽観視するのは厳禁!
深刻な病気の兆候や熱中症の症状など、犬の鼻血には命にかかわる危険性が潜んでいる可能性があるからです。
目次
人間がよく鼻血を出す理由と、犬があまり鼻血を出さない理由
人間は比較的よく鼻血を出しますが、犬は滅多なことでは鼻血を出しません。そこにはちゃんと理由があります。
人間がよく鼻血を出す理由
- 鼻の入口付近(穴から1~2cmのあたり)に毛細血管と静脈が集中している場所があり(キーゼルバッハ部位)、強くこする、打つなどのちょっとした外的刺激によって血管が破れてしまい出血してしまう。
- 粘膜が乾燥することで血管壁が脆くなり、ちょっとした刺激によって出血することがある。
人間の場合、鼻の穴のすぐ近くに毛細血管が集中している部位や粘膜があることが、よく鼻血を出してしまう大きな理由というわけですね。
人間の鼻血の7~8割はこの部位からの出血。小さな子どもの鼻血も、だいたいこの部位(キーゼルバッハ)が占めています。
もちろん鼻内部のポリープや血管腫、高血圧、血液凝固異常といった深刻な原因もありますが、キーゼルバッハ部位からの出血のような単純な鼻血に比べると、数自体は多くありません。
犬があまり鼻血を出さない理由
- 犬の鼻内部の血管は深い位置にあるため、ちょっとした外的要因や刺激では出血しにくい構造になっている。
- 犬の鼻は基本的に湿り気が多いため、粘膜が乾燥しにくく出血しにくい。
- 鼻の内部になんらかの異物が入ったとき、人間に比べて強い排出反応が働くので鼻血が出るほどの傷を負う前に異物を排除できている。
- 犬の鼻内部の血管は、人間の鼻内部の血管より丈夫なつくりをしている。
こうして比較してみると、犬の鼻の内部は人間の鼻の内部より外的刺激に対して強いつくりをしていることがわかります。だからこそ、犬が鼻血を出しているとしたら、それは緊急事態の可能性が高いわけですね。
犬が鼻血を出す原因とは?
犬が鼻血を出しているとしたら、次のような原因が考えられます。
犬の鼻血の原因①外傷
鼻やマズルをぶつけて鼻腔内に傷を負った、あるいは鼻骨を骨折したのかもしれません。他の犬に噛まれて傷を負った可能性も考えられます。
犬の鼻血の原因②異物の混入
鼻の内部になんらかの異物が入り込んでしまい、それが原因で内部に炎症を起こしている可能性が考えられます。
草の種などは先端が尖っているものがあるため、粘膜に突き刺さっているかもしれません。草むらでクンクンするのが大好きなワンコは要注意です。
犬の鼻血の原因③歯周病の悪化
歯周病が進行していくと、口と鼻の間にある歯槽骨が溶けて穴があいてしまい、そのせいで鼻の穴から血が垂れてくることがあります。
「なぁんだ、歯周病か」などと侮ってはいけません。歯周病菌が歯の根元だけではなく土台となる骨まで溶かしてるわけですから、これはとても危険な状態。鼻の内部がボロボロになるだけではなく、目まで進行すれば失明する可能性もあります。
犬の鼻血の原因④鼻腔内の腫瘍
犬の鼻の中にできる腫瘍には腺癌・扁平上皮癌・軟骨肉腫・未分化癌・骨肉腫・未分化肉腫リンパ腫などがありますが、これらはいずれも悪性腫瘍です。
シニア犬が突然鼻血を出したとしたら、残念ながら腫瘍の可能性を考えなければなりません。とにかく、まずはかかりつけの動物病院で精密検査を受ける必要があります。
犬の鼻血の原因⑤血液の凝固異常
犬の血液が固まりにくくなる病気には、血小板減少症やフォンウィルブラント病などがあります。
これらの病気の場合は全身において血液が固まりにくくなることから、鼻血だけではなく内出血や血尿、血便などの症状も見られる可能性が高いといえるでしょう。
犬の鼻血の原因⑥熱中症
ちょっと意外に思われるかもしれませんが、熱中症にかかっている際にも鼻血が出ることがあります。
とはいえ、鼻血が出るのはかなり熱中症の症状が進んでいる状態。そのため、呼吸が荒い、よだれが多い、体温が高い、動作が緩慢になるなどの症状がすでにみられているはずです。
熱中症が原因と思しき鼻血を確認したら、とにかく体温を下げるべくあらゆる手を尽くしながら、動物病院へ急行しましょう。
>『犬の「腸活」基礎知識|腸の温度を上げないと腸内環境は改善しない』
犬の鼻血は様子見厳禁!とにかくまずは原因をつきとめよう
よほどの理由がない限り、人間の鼻血は様子見をすることが多いですよね。しかし、犬の場合は様子見をしている間に体調が悪化してしまう可能性があるため、基本的にはかかりつけの動物病院へ直行すると考えるべきです。
大慌てで病院に急行し、診察してもらったらまったく問題なかった――これは恥ずかしいことでもなんでもありません。
「あの時はびっくりして大騒ぎしてしまったなぁ」というのは、飼い主として悪いことではないのです。
一番怖いのは、大したことではないと判断した結果、手遅れになってしまうことではないでしょうか。
>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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