犬の腸内細菌について詳しく知りたい!善玉菌と悪玉菌の種類を解説

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犬も人間も、腸内環境は健康の要です。腸内環境が善玉菌優勢であれば免疫力は高まり、少々のことがあっても体はとても良い状態でいられます。ところが腸内環境が悪玉菌優勢になってしまうと、次から次へと体は不調に見舞われることに…。

 

このように、腸内環境は善玉菌優勢が望ましいことは犬も人も同じです。しかし、善玉菌や悪玉菌という言葉ばかりが先行し、実のところその内容までは曖昧ではないでしょうか。

 

そこで、今回は腸内細菌と呼ばれる菌にはどのような種類があるのかなど、より詳しく犬のお腹の中について解説します。

愛犬の健康長寿には善玉菌優勢の腸内環境が絶対的に必要

 

犬の腸内環境は、間違いなく健康に大きく関わっています。それは消化機能だけに限った話ではありません。犬の腸内には免疫細胞の実に7割が存在していますから、当然のことながら免疫機能と腸内環境は切っても切れない関係です。

 

さらには、犬の腸内環境はメンタル面にも多大なる影響を与えていることが判明しています。つまり、愛犬を健康で長生きさせたいと願うなら、絶対的に腸内環境を良好な状態に整え続けなければいけないのです。

 

犬の腸内環境も、人間の腸内環境と同じく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」という三種類の菌から成り立っています。健康な体の犬の腸は善玉菌と日和見菌が優勢であり、悪玉菌の活動はかなり抑えられている状態です。

 

この状態を保つには、必ず腸の温度は高く保たれていなければなりません。なぜなら、善玉菌は高い腸の温度帯を好むのに対し、悪玉菌は低い温度帯を好むからです。

 

つまり、腸内環境を良好な状態に保つには、腸の温度を善玉菌好みの高い温度帯に保つことが絶対条件になるわけですね。

 

「うちの子のお腹は冷え冷えで下痢や軟便ばかりしていましたが、とても元気に長生きしてくれました」……ということは、残念ながら絶対にありえないのです。

 

>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる

 

 

犬の善玉菌は乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌・乳酸球菌の混合チーム

 

人間のお腹にいる善玉菌には複数の種類があるように、犬のお腹にいる善玉菌にもいくつかの種類があります

 

犬の善玉菌:乳酸菌

乳酸菌(ラクトバチルス属)は、犬の腸内に多く存在している、とても重要な善玉菌です。そんな乳酸菌には、主に次のような種類があります。

 

  • アシドフィルス菌 → 酸に強く生きたまま腸に届き、乳酸を産生して腸内環境を改善
  • カゼイ菌 → 小腸を中心に働いて消化吸収を助ける
  • プランタラム菌 → 酸に強く免疫力向上に役立つ
  • フェルメンタム菌 → 酸に強く生きたまま腸に届き、乳酸を産生して腸内環境を改善

 

善玉菌は腸内で乳酸や酢酸を産生することで腸のpHを酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑えてくれます。また、善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸が腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を直接的に刺激することで活性化され、便通を整える働きもあります。

 

犬の善玉菌:ビフィズス菌

ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)は、犬の大腸に多くみられる善玉菌の一種です。そんなビフィズス菌には、主に次のような種類があります

 

  • アニマリス菌 → 生きたまま大腸に届きやすく、整腸作用や免疫調節機能が高い
  • ブレーベ菌 → 酢酸と乳酸を産生し腸内環境を改善
  • ロンガム菌 → 生きたまま大腸に届きやすく、犬の不安行動の緩和や認知機能の維持に関与する可能性が示唆されている

 

ビフィズス菌もまた犬の腸内で乳酸や酢酸を産生し、腸のpHを酸性にして悪玉菌を抑えています。さらには大腸での発酵を促すことで便をほどよい硬さに調節し、便通をスムーズにする働きもあります。

 

犬の善玉菌:酪酸菌

酪酸菌というのは、実は酪酸産生菌の総称です。どのような菌のことをいうのかといえば、要は食物繊維を分解して酪酸を作る菌のことなんですね。(酪酸菌には様々な分類の属名があるので、今回は割愛)

 

犬の腸に生息している酪酸菌としては、クロストリジウム・ブチリカムなどがあります。

 

クロストリジウムと聞いて「えっ⁉」と思われたかたもいらっしゃるのではないでしょうか。というのも、悪玉菌の代表格のようなウェルシュ菌も、クロストリジウム属の菌の一種だからです。

 

でも心配はいりません。クロストリジウム・ブチリカムはウェルシュ菌と同じクロストリジウム属ではありますが、こちらは善玉菌として働く菌なので、犬の腸内にいてほしい分類になります。

 

さて、そんなちょっとややこしい酪酸菌ですが、善玉菌としての働きは短鎖脂肪酸を産生することです。短鎖脂肪酸は大腸の粘膜細胞にとって最も重要なエネルギー源となるため、腸のバリア機能の維持や免疫調節、あるいは蠕動運動の調節などにも欠かせません。

 

また、抗炎症作用もあるので、皮膚炎やアレルギーの予防にも一役買っています。

 

犬の善玉菌:乳酸球菌

乳酸球菌という名前はあまり聞き馴染みのない方も多いと思いますが、糖を分解して乳酸を作り出す細菌の一種です。代表格としてはフェカリス菌があり、この名前であれば「聞いたことがある!」という方も多いのではないでしょうか。

 

乳酸球菌も属名がいろいろあり、ややこしくなるので割愛しますが、とりあえずフェカリス菌はエンテロコッカス属に分類されている乳酸球菌です。

 

さて、そんな乳酸球菌ですが、名前は聞き慣れないものの、実は犬用のサプリメントではよく使われている菌です。というのも、主な働きは乳酸産生による腸内環境の改善だからです。下痢や軟便の改善を目的としてサプリメントに使われるのも、うなずける働きといったところでしょうか。

 

また、下痢や軟便を引き起こす細菌の付着を阻害する効果もあるので、腸の粘膜を守る働きも期待されています。

 

>『犬の下痢や震えは腸が冷えているサイン!お腹を内側と外側から温めて免疫力アップ

 

 

犬の悪玉菌は日和見菌が悪玉化したものも多い

 

犬の腸内細菌の中で悪玉菌とされている菌が、なぜ「悪玉」とされているのかについても知っておきましょう。

 

そもそも悪玉菌が優勢になると、なぜ腸内環境が悪化するのでしょうか。その理由は、悪玉菌が産生する物質が下痢、軟便、過剰なガス、異様な便臭などを引き起こし、ひいては免疫を低下させてしまう原因になるからです。

 

要するに、悪玉菌とされている菌は腸内で腐敗を生じさせたり、毒素を作り出すからこそ厄介なんですね。

 

犬の悪玉菌:大腸菌

犬だけではなく私たち人間の腸内にも当たり前のように常在している菌ですが、この中で毒素を産生する特定の系統の大腸菌が増えてしまうと、悪玉化してしまいます。

 

悪玉化した大腸菌が作り出す有害な成分は次のとおりです。

 

  • アンモニアインドールスカトール → 便やおならが異様な臭いになる
  • フェノールp-クレゾール → 血液に入り込んで全身をめぐり、皮膚炎などを引き起こす
  • 硫化水素 → 腸内環境を悪化させ、免疫力を低下させる

 

腸内環境が良好な状態であれば、大腸菌は日和見菌なので悪さをすることはありません。腸内環境の悪化により、日和見菌だったはずの大腸菌を悪玉菌へと変貌させてしまうのです。

 

犬の悪玉菌:ウェルシュ菌

善玉菌について述べた酪酸菌の章でも登場したウェルシュ菌。クロストリジウム属の一種ではありますが、酪酸菌とは違い、その正体は下痢や軟便を引き起こす悪玉菌の代表格のような菌です。

 

そんなウェルシュ菌が増える要因には次のようなものがあります。

 

  • タンパク質脂質の過剰摂取
  • 腐敗した食べ物の摂取
  • 急激な食事内容の変化による腸内細菌バランスの乱れ
  • ストレスによる免疫力の低下
  • 歯周病

 

ウェルシュ菌が犬の腸内で増殖すると、腸の粘膜にダメージを与えて炎症を引き起こします。その状態が続くと急性大腸炎を引き起こすだけではなく、最悪のケースでは炎症性腸疾患(IBD)の原因になることもあります。

 

犬の悪玉菌:バクテロイデス属の菌

バクテロイデス属の菌は犬の腸内にたくさん存在していて、基本的には日和見菌です。しかし、不適切な食事やストレスなどが原因で増殖してしまうと、悪玉化することがあります。

 

悪玉菌と化したバクテロイデス属の菌は、硫化水素など犬の体に害を及ぼす有毒ガスを産生します。この状態が続くと消化不良や便の悪臭化だけではなく、腸粘膜のバリア機能そのものを弱体化させてしまうのです。

 

日和見菌だからといって安心できない――それがバクテロイデス属の菌です。

 

>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる

 

 

腸内環境改善の最初の一歩は腸の冷えを取り除いて温めること

 

腸内環境を善玉菌優勢の良い状態に整えるには、まずは腸を温める必要があります。仮に犬用の整腸剤を飲ませたとしても、腸の温度が低いままでは効果は思うようにあがりません。手っ取り早く腸内環境を整える方法はないのです。

 

地道に見えても、まずは腸の冷えを取り除いて温度を上げることが先決!そのうえで、栄養バランスのとれた食事を続けることが、良好な腸内環境を作ってくれるのです。

 

今回ご紹介した犬の善玉菌と悪玉菌は、たくさんある中のほんの一部です。とはいえ、どれも代表的なものなので、覚えておいても損はありません。愛犬のお腹の健康を真剣に考えることが、健康長寿につながります。

 

>『夜中に犬のお腹がギュルギュル鳴る理由は?老廃物排泄の準備かも!

 

今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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この記事を書いた人

坂田剛

(株)ラクト・ラボ代表取締役。20年間健康美容業界に携わり犬達の世界が人間と同じように生活習慣病が増え始めてきたことをきっかけに15年前に犬のサプリメント販売ラクト・ラボを起業。2018年に法人化。趣味は愛犬とキャンプに行き大自然とふれあいリフレッシュすること。

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