犬がカエルを食べた!カエル中毒は思っている以上に危険な状態
犬は好奇心旺盛な生き物。子犬や若犬は見慣れないものや不思議な動きをするものに対し、いつだって興味津々です。ちょっと目を離したすきにちょっかいを出し、ヒヤっとさせられた経験をお持ちの飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
もちろん、カエルも犬にとっては興味の対象です。追いかけたりニオイを嗅いだり、時には口に入れてしまうことも…。しかし、これは思っている以上に危険な行為!
なぜなら、カエルの毒で中毒を引き起こしてしまうだけではなく、寄生虫感染の危険性もあるからです。
目次
ヒキガエルは犬が中毒を起こす危険な毒を持っている
日本のカエルといえば、ヒキガエルとアマガエルが二大メジャーですよね。このうち、ヒキガエルには犬が中毒を起こす毒があるため、絶対に近寄らせてはいけません。
もちろん、何も接触がなければ犬がヒキガエルの毒にあたる可能性はないんです。しかし、犬とは往々にしてヒキガエルをくわえてしまう生き物。
くわえる、嗅ぐ、なめるなどの犬が与えた刺激により、ヒキガエルの耳下腺(耳の近くにある唾液腺)や皮膚から「ブフォトキシン」という毒素が分泌されることになります。
もちろん、ヒキガエルのほうも意地悪をして毒素を分泌しているわけではなく、身を守るための手段。要するに、犬とヒキガエルは、いついかなる場合も接触しないことが、お互いのためというわけですね。
ブフォトキシンによる中毒症状(カエル中毒)には次のようなものがあります。
- 大量のよだれ
- 泡を吹く
- 嘔吐
- 下痢
- 呼吸困難
- 運動麻痺
- 虚脱状態
ヒキガエルの毒による中毒は、最悪の場合は死に至ることもあるほど危険なものです。冗談でも、ヒキガエルを愛犬に向かって放り投げるようなまねはしないでください。もちろん、死んでいるヒキガエルであろうと、同様に危険です。
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アマガエルの毒性は弱いけれど犬の体にダメージを与えるおそれあり!
ヒキガエルの毒性はわりと有名ですが、アマガエルの毒性についてはあまり聞かないですよね。アマガエルは見た目が可愛らしいこともあり、愛犬がクンクンしている写真をSNSなどにあげている飼い主さんもいるようですが、この行為はとても危険!
なぜなら、ヒキガエルほどの強い毒は持っていないものの、アマガエルも敵から身を守るための物質を体から分泌しているからです。
ヒキガエルの分泌するブフォトキシンとは違い、アマガエルの毒は抗菌性のタンパク質ではないかと考えられています。ブフォトキシンのような強い毒性はありませんが、厄介なのは細胞を溶かす働きがあることです。
つまり、犬が不用意にアマガエルを口に入れてしまった場合、口腔内に炎症を起こす可能性があるんですね。また、目に入ってしまった場合は眼球に傷をつけてしまうなど、アマガエルと犬を近づけても良いことは一つもありません。
カエルによる寄生虫感染
犬がカエルを食べてしまった場合、実は毒による影響より寄生虫感染のほうが厄介です。仮に毒性物質を持っていないカエルだったとしても、かなりの確率で「マンソン裂頭条虫」という寄生虫に感染しているからです。
マンソン裂頭条虫というのは、俗にいうサナダムシのことで、きしめんのような姿をしています。
このマンソン裂頭条虫は、厄介なことに人獣共通感染症です。そして、お腹の虫なら駆虫すればよい、という程度の認識ではなかなか駆虫できないところが、さらに厄介なんですよね。
通常の駆虫量ではびくともしないため、マンソン裂頭条虫にあわせた量の駆虫薬を用いなければなりません。なんとも寄生力の強い条虫がカエルの多くに寄生していることを、犬の飼い主は知っておくべきなんです。
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愛犬がカエルを口に入れたり食べてしまったときは…
愛犬がカエルに興味を持っているのに気づいたら、とにかくまずは引き離しましょう。アマガエルがいくら可愛かろうと、写真を撮っている場合ではないんです。
もしもすでに口にくわえていたら、飲み込ませないように気をつけつつ、なんとしても口から取り出します。そして、きれいなお水で口の中をしっかり洗ってください。軽くすすぐ程度というよりは、ホースの水でしっかり洗い流すイメージが大切です。
そのうえで体調、食欲、便の様子をしっかり観察し、異変がみられた場合はすぐに動物病院を受診してカエルを口にしたむねをしっかり伝える必要があります。
明らかにカエルを飲み込んでしまった場合は、すぐに動物病院を受診して吐かせてもらったほうがよいでしょう。カエル中毒の解毒剤や特効薬はありません。なにがしかの症状が出た場合は、対症療法で対応していくことになります。
どのようなことであろうと、後悔を先にすることはできません。あの時カエルに近づかなければ――そのように悔やむことがないように、日頃から充分に注意することがなによりも大切です。
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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