愛犬が食後すぐ吐く理由を知りたい!胃ではなく腸が原因の可能性も…

このところ、愛犬がご飯を食べた後すぐに吐いてしまう。それも一度きりではなく、何度も繰り返してしまうのはなぜだろう――?
このようなとき、多くの飼い主さんは「胃が弱っているのかもしれない」「早食いが原因ではないだろうか」などと理由を考えるのではないでしょうか。
しかし、食後すぐの嘔吐が続いているとしたら、その原因は胃とは限りません。もしかしたら、腸の状態が嘔吐に関係している可能性もあります。というのも、犬の消化器は胃と腸が密接に連動して働いているからです。
目次
犬が吐いた=すべて胃のトラブルとは限らない
犬は人間に比べて比較的よく吐く生き物です。しかし、だからといって「吐く」ことを安易に捉えるべきではありません。というのも、たまたまちょっと胃の調子が悪くなったから、ということではなく、腸の不調が原因で吐いている可能性も考えられるからです。
だからこそ、愛犬が頻繁に吐いているとしたら、吐くタイミングをしっかり観察する必要があります。たとえば…
- 空腹時によく吐いている
- 食後すぐに吐いている
- 食事をしてから数時間経過した後に吐いている
これらはすべて事象だけをみれば「嘔吐」と表現される状態ですが、考えられる原因は異なります。特に食後すぐに吐いているとしたら、胃の中に食べ物が入ったにもかかわらず、消化の流れが止まっている(スムーズではない)可能性を考えなければなりません。

「空腹時に吐く」「食後すぐに吐く」「食後数時間経過後に吐く」の違い
まずは前項でお話しした、3つの「吐く」という状態の違いについて考えてみましょう。
空腹時嘔吐の特徴は…
- 朝方や食事と食事のインターバルが長く空いたタイミングで吐く
- 白っぽい泡のようなもの、あるいは黄色い液体を吐くことが多い
- 食事、あるいはおやつを食べさせると落ち着く
空腹時嘔吐は、胃酸や胆汁の刺激が主な原因です。つまり、空腹時に吐くことが多いとしたら、これは胃の問題が中心と考えてよいでしょう。基本的にはあまり神経質に心配する必要のないタイプの嘔吐です。
食後すぐに吐く場合の特徴は…
- 食後数分から30分以内に吐くことが多い
- 食べたものがほとんど未消化、あるいは少しだけ消化しているような状態
- 食後に吐くことがかなり頻回にある
食後すぐに吐く場合は、胃から先の消化器との連携に問題がある可能性があります。胃から先の消化器とは小腸(十二指腸・空腸・回腸)と大腸(盲腸・結腸・直腸)のことです。胃だけではなく腸の動きに問題がある可能性を考える必要があります。
食後数時間経過後に吐く場合の特徴は…
- 食事をしてから時間がたっているにもかかわらず、食べたものがあまり消化されていない
- 吐いたものからツンと鼻をつくような酸っぱいにおい(酸臭)がする
- 吐いたものから便の臭いがする
- 吐いたものに黄色い液体(胆汁)が混ざっている
食後数時間(1~3時間くらい)経過後に吐く場合は、消化不良や早食い、あるいは食後すぐの運動や胃腸炎などが考えられます。また、胃腸に異物が入り込んだ異物誤飲や閉塞の可能性もあり、万が一そうだとしたらとても危険な状態です。
とはいえ吐いたのが1度か2度程度で、その後は元気や食欲があるとしたら、まずは様子見をしてもよいでしょう。しかし、何度も嘔吐を繰り返していたり、ぐったりとして元気がないのであれば、即病院を受診する必要があります。
特に、お腹が膨らんできたり吐こうとするのに吐けないとしたら、胃捻転の可能性を考えなければなりません。この場合は様子見していると命を落とす可能性の高い危険な状態なので、たとえ夜間であろうと緊急の対処が必要です。
食後数時間経過してから吐く場合は、あまり心配する必要のない原因から命にかかわる重篤な問題まで様々にあることを、飼い主の知識として知っておかなければなりません。

腸の機能が低下すると消化機能全体に問題が生じる
「愛犬が食後すぐに吐いてしまうので、いろいろな検査をしてもらいました。ところが「胃に異常はありませんでした」と診断されてしまい、どうしたものかと途方に暮れています」
……となると、次に考えられるのは、腸の機能が低下している可能性ではないでしょうか。というのも、腸の機能が悪くなると次のような状態に陥ってしまうからです。
1.腸の機能が低下したことで胃から腸へ内容物がスムーズに移動しなくなる
↓
2.胃から腸へと流れていく消化のリズム全体に乱れが生じるようになる
↓
3.消化液の分泌などに乱れが生じ、その結果として胃に逆流しやすくなり嘔吐を誘発する
腸の状態に問題が生じると、消化という機能全体の能力が低下してしまいます。その結果として、胃が内容物を押し戻すような形で吐いてしまうことがあるのです。
つまり、嘔吐の原因が腸を含めた消化器全体のリズムにあるのだとすれば、まずは腸を良好な状態に整える必要がある、というわけですね。

嘔吐しがちな犬にみられる腸の3つの状態
腸が原因で食後すぐに吐いてしまう犬には次のような特徴がみられます。
腸の動き(蠕動運動)が弱っている
腸の動きが悪くなると食べたものがスムーズに腸に送られず、結果として胃に長くとどまってしまいます。この状態は加齢によって引き起こされることが多いので、特に老犬の飼い主さんは注意が必要です。
では、なぜ加齢によって腸の動きが悪くなるのかといえば…
- 腸の筋力が加齢によって低下する
- 自律神経の働きが弱まる
- 加齢によって消化管全体の動きがゆっくりになる
腸の筋力というのは、主に大腸を取り巻く平滑筋の蠕動運動(便を押し出す力)と、腹筋のふんばる力のことをいいます。
年老いた愛犬がここ最近よく吐くようになったとしたら、その原因は胃ではなく、腸の筋力の低下や自律神経の働きが鈍くなったことが原因かもしれません。
腸内環境の乱れ
善玉菌・悪玉菌・日和見菌で構成されている腸内細菌のバランスが崩れると、腸だけではなく消化管全体(胃から直腸まで)の連携に問題が生じることがあります。
- 下痢や軟便を繰り返している
- 便のにおいが悪い
- ガスが溜まりやすくしょっちゅうオナラをする
このような犬の腸内環境は間違いなく乱れており、腸が消化吸収しなければいけない内容物を受け入れる準備が整っていません。その結果、胃から送られてきた内容物を処理しきれず、嘔吐につながってしまうのです。
腸の冷え(腸の温度が低い)
腸の冷えも犬が嘔吐をする原因の一つです。というのも、腸の温度が低いと…
- 低い温度帯を好む悪玉菌が優勢となり腸の動きが悪くなる
- 血流が低下する
- 消化酵素の働きが鈍くなる
このような状態では、胃と腸が上手に連動するはずもありません。腸が冷えている犬は下痢や軟便をしがちなだけではなく、嘔吐をすることもあるのです。

食後すぐに吐くのは愛犬の体が助けを求めているサイン
愛犬が食後すぐに吐くと、多くの飼い主さんは胃の問題を疑いがちです。もちろん、胃になんらかの問題が生じて吐くこともあるでしょう。しかし、実際には腸の状態が原因であるケースが少なくないのです。
空腹時嘔吐なのか、消化管(胃と腸)の連携が悪いのか、あるいは老犬によくみられる消化機能の低下なのか――。このあたりを総合的に考えることで、より愛犬に適した対処法が見つけられるはずです。
「吐く=胃に問題あり」ではなく、便の状態や愛犬の行動も含め、もっと広い視野で観察することが、愛犬の消化器トラブルを改善する近道になるのではないでしょうか。食後すぐに吐いてしまうのは、愛犬の腸が飼い主さんに助けを求めているSOSのサインです。
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