【犬の免疫力】体を守る防御システムについて正しく知ろう

愛犬の腸内環境を善玉菌優勢に改善することは、健康長寿に直結している――このフレーズは、ナノワンのコラムで繰り返しお伝えしてきましたよね。
腸には免疫細胞の約7割が集中しています。だからこそ、腸内環境の良し悪しが免疫力に大きく関わってくるわけですが…。ところで、「免疫力」と呼ばれるものの正体は、結局のところ何なのでしょうか?
ウイルス等と闘う力――まではわかったとしても、「何が」「どこで」「どのように」体を守っているのかと聞かれたら「?」となるかたも多いことと思います。
というわけで、今回は「免疫力」について考えていきましょう。
目次
犬の体は異物を排除する免疫システムで守られている
免疫力というのは、視力や聴力のように体の特定部位に備わった役割のことを指しているのではありません。
全身に分布しているいろいろな器官が連携することによって機能する、防御システムの総称のことを「免疫力」と呼んでいます。
また、免疫力が闘う相手といえば、ウイルス・細菌・寄生虫などが真っ先に思い浮かびますよね。
しかし、免疫力は体の外側から侵入してくる異物だけではなく、体の中で日々発生しているがん細胞と闘う役割も担っています。
免疫システムが闘う異物
- ウイルス・細菌・真菌などの微生物
- 回虫・鉤虫などの内部寄生虫
- ダニ・ノミなどの外部寄生虫
- がん細胞
犬の体に備わっている免疫システムは、まず最初に「これは自分の体の一部である=味方」「これは自分の体の一部ではない=異物」という区別をします。
そして、異物の中でも「体に悪影響あり=敵」と認識したものを「抗原」と判断し、体の中から排除するために攻撃する――これが免疫システムの仕組みです。

犬の免疫系は全身に分布している組織や器官の連携で成り立っている
犬の免疫細胞の約7割は腸に集中しています。しかし、だからといって腸だけで免疫システムが完結しているわけではありません。(腸での具体的な働きについては後述します)
全身の細胞・組織・器官が連携することにより、犬の体に害を及ぼす異物から体を守る免疫システムは成り立っているのです。
物理的に異物の侵入を防ぐ「皮膚」と「粘膜」の防波堤
体の外側から侵入しようとする異物を防ぐ最初の防波堤は、「皮膚」と「粘膜※」です。
(※気道などの呼吸器・胃腸などの消化器・泌尿器や生殖器といった管状器官の内側表面にある膜のこと)
皮膚や粘膜が良い状態に保たれていると、異物の多くは体内に侵入することができません。反対に、皮膚や粘膜が弱っていて傷がついていると、異物はそこからたやすく体内へと侵入してしまうのです。
異物と闘う血液中の細胞成分「白血球」
皮膚と粘膜の防波堤を突破した異物と闘うのは、血液中に含まれている細胞成分の「白血球」です。
白血球には5種類の形態があり、それぞれに重要な役割があります。
- 好中球 → 白血球の半数以上を占める主要な細胞成分で、主に外部から侵入したウイルス・細菌・真菌を酵素や活性酸素で消化・殺菌する。
- リンパ球 → 未知の異物に遭遇すると相手の情報を記憶し、次にその異物が侵入した際には即座に攻撃して破壊する働きを持つ。(NK細胞・Bリンパ球・Tリンパ球)
- 単球 → 外部から侵入した異物を食べる役割。また、血液中から組織内に入るとマクロファージとなって異物を消化し、抗原や免疫情報を見つけ出す働きもしている。
- 好酸球 → 主に寄生虫感染に対する防御に関与している白血球で、アレルギー性疾患が起きると増加する。
- 好塩基球 → 寄生虫など大きな異物の排除に関与し、抗原に出会うとヒスタミン等を放出してアレルギー反応を引き起こす。好中球と好酸球を引き寄せる性質がある。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)
NK細胞はリンパ球の一種で、がん細胞やウイルス感染した細胞など、異常な細胞を見つけ次第殺して排除する役割を持っています。
B細胞(Bリンパ球)
異物に出会うとそれに適した抗体を作りだす役割のほか、細菌が産生する有毒物質を不活性化する働きがあります。
T細胞(Tリンパ球)
異常な細胞を攻撃する働きのほかに、B細胞(Bリンパ球)が異物に適した抗体を作るのを補助し、免疫反応を終わらせる働きも担っています。
リンパ管とリンパ節は体に侵入した異物をチェックする関所
血液が流れる管が血管と呼ばれるのに対し、リンパ液が流れる管をリンパ管と呼んでいます。リンパ液には細胞から出た老廃物を運ぶ役割がありますが、ウイルスや細菌などの異物もリンパ液に取り込まれていきます。
一方、リンパ節というのは体全体に分散している免疫機関の一種で、リンパ管の途中に配置されています。そしてリンパ管を流れるリンパ液の中にウイルス・細菌・がん細胞といった異物がないかを見張っている、いわば関所のような仕事をしているわけですね。
そのため、リンパ節にはリンパ球が多く集まっており、異物を見つけ次第攻撃するシステムが出来上がっているのです。

犬の免疫システムの要「腸」の3つの役割
犬の免疫システムは、全身の器官の連携によって成り立っています。
とはいえ、やはり一番の要は免疫細胞の約7割が集中している「腸」であることは間違いありません。
その理由としては、主に次の3つの要素があげられます。
- 腸管の内側にある粘膜によって、物理的に異物をブロックしている。
- 腸管上皮細胞間にはリンパ球など多数の免疫細胞が存在している。
- 腸内環境が善玉菌優勢であれば、悪玉菌が産生する毒素を抑制できる。
そして、腸の免疫システムが良好だと全身に毒素がまわることを防げるため、結果的に皮膚や粘膜の状態も良好に保つことができます。
つまり、免疫システムの最初の防波堤である「皮膚」と「粘膜」が健康な状態に保てるため、体内に侵入してくる異物を初歩の段階で排除できる可能性が高くなるわけですね。
これはまさしく、免疫システム強化の好循環といえるでしょう。
また、腸内環境が良いと消化吸収が促進されるため、新陳代謝が活発になります。
すると全身の細胞に栄養がいきわたり、血液中の細胞成分も活性化されるため、外敵と闘う白血球軍団はますますパワーアップすることになるでしょう。
このように、腸の健康はまさしく全身の健康とダイレクトにつながっているのです。
>『犬の「腸活」基礎知識|腸の温度を上げないと腸内環境は改善しない』

愛犬の長生きには腸が喜ぶ食事と穏やかな環境が欠かせない
こうして一つずつ紐解いていくと、愛犬の健康長寿と腸の健康が切っても切れない関係であることがよくわかりますよね。
子犬から老犬まで、犬の一生において栄養バランスが整った消化しやすい食事が欠かせないことは、もはや疑いようがないのではないでしょうか。
と同時に、運動不足やスキンシップ不足で愛犬がストレスを感じるような生活環境を見直すことも大切です。
愛犬の体は飼い主さんが用意する毎日の食事で出来上がっていますが、愛犬の心は飼い主さんとの信頼関係で築かれていることを、どうか忘れないでください。
>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる』
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。

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