【犬の手作りご飯】食物繊維は必要!でも摂りすぎは下痢・便秘の原因
「食物繊維」というものは、なんとも不思議な立ち位置にありますよね。犬の五大栄養素<タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル>の仲間に入れてもらえないのは、なんとなく理解できます。
しかし、六大栄養素ともなれば末席に指名されてもよさそうなものですが、ここに追加されるのは水なんですよね。水がなければ生きられないので、ぐうの音もでませんが…。
とはいえ、食物繊維を正しく摂取することは、確実に犬のお腹の健康につながります。というわけで、今回は食物繊維について考えてみましょう。
目次
犬は食物繊維を消化できないから必要ない
犬は雑食動物ですが、食性が肉食獣寄りであることはご存じのかたも多いですよね。この事実は腸の長さと体長を比較してみれば一目瞭然です。
・犬の腸(雑食)→ 体長のおよそ5~6倍
・人の腸(雑食)→ 体長のおよそ10~12倍
・猫の腸(肉食)→ 体長のおよそ4倍
・トラの腸(肉食)→ 体長のおよそ4倍
・牛の腸(草食)→ 体長のおよそ20倍
・羊の腸(草食)→ 体長のおよそ25倍
ご覧の通り、犬の腸は長いとはいえません。となると、動物性タンパク質の消化が得意なことは一目瞭然ですよね。つまり、犬は雑食動物ではあるものの、強固な細胞壁に守られた植物(野菜)の栄養素を消化吸収することには向いていないのです。
こういった点から「犬の食生活において消化できない食物繊維はあまり必要ではない」という考え方が示されることもあります。
しかし、そんなことを言ったら人間の腸にしても、食物繊維を消化することはできません。でありながら、なぜ人間の食生活ではやたらと食物繊維が重要視されているのでしょうか。
それは、食物繊維が消化されずに大腸まで届くことに、大きな意味があるからです。
>『【現代の犬の健康】は、腸を温める食事の継続が必須条件となる』
犬の体質に合う食物繊維と合わない食物繊維
口から入った食物繊維が消化器を通って肛門から排出される――この一連の流れは人間と同様に、犬のお腹の健康にも大きく影響しています。
ただし、繊維質であれば何でもよいという意味ではありません。
食物繊維には犬の体に合うものと合わないものがあり、この部分にこそ「雑食ではあるけれど肉食獣に近い」という犬の食性が強く表れてくるのです。
犬の体に合う食物繊維は善玉菌のエサとなる「発酵性食物繊維」
犬のお腹の健康に役立つ食物繊維は、ズバリ「発酵性食物繊維」です。発酵性食物繊維というのは主に水溶性食物繊維のことで、腸内で善玉菌のエサになります。
このタイプの食物繊維は腸内細菌の働きで発酵し、短鎖脂肪酸など乳酸菌生成物質を作り出します。すると、悪玉菌の増殖抑制や抗炎症作用が期待でき、腸内環境の改善に役立ってくれるのです。
ちなみに、水溶性食物繊維を利用するのは善玉菌だけ。悪玉菌は発酵性食物繊維を利用しないため、善玉菌優勢の環境が作れるというわけですね。
リンゴに含まれているペクチン、昆布に含まれているアルギン酸などは、発酵性食物繊維の代表選手といえるでしょう。
犬の体に合わない食物繊維は「非発酵性食物繊維」
犬の胃腸に適していない食物繊維は、「非発酵性食物繊維」です。なにやら小難しい言い回しになりましたが、要するに不溶性食物繊維のことですね。
とはいえ、犬の体に不溶性食物繊維が必要ないわけではありません。適量のセルロース(不溶性食物繊維)は犬の腸の蠕動運動を促し、便のかさましにも役立ってくれます。
ただし、ヘミセルロースやリグニンは、同じ不溶性食物繊維の中でもかなり硬質なタイプ。特にリグニンは腸内細菌による発酵がまったく期待できないため、犬の体にはまったくもって向いていません。
リグニンは木材中に多く含まれているため、木製のオモチャをかじっているうちに大量に飲み込んでしまうと消化器トラブルの原因になることがあるため、注意が必要です。
犬が食物繊維を摂りすぎるとエネルギー不足になることも…
適量の食物繊維は犬のお腹を善玉菌優勢の環境に整える効果が期待できます。しかし、摂りすぎは下痢や便秘の原因になるため注意しなければなりません。
・水溶性食物繊維の摂りすぎ → 下痢を悪化させる可能性あり
・不溶性食物繊維の摂りすぎ → 便秘を悪化させる可能性あり
また、食物繊維にはタンパク質・脂質・糖質のエネルギー利用効率を低下させてしまう作用があります。つまり、摂りすぎるとエネルギー不足の原因になる可能性も。
もちろん、適量であればなんら問題はありません。これは食物繊維に限ったことではなく、タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルにもいえること。生きるために欠かせない水分でさえ、摂りすぎれば体調悪化を引き起こします。
犬の健康長寿はバランスの良い食事が土台
犬の体に合っているのは水溶性食物繊維(発酵性食物繊維)ですが、だからといって不溶性食物繊維が必要ないわけではありません。
両方をバランス良く摂取することが、なによりも重要です。
これは、食物繊維に限ったことではありません。五大栄養素のバランス、肉類と野菜のバランスなどなど、すべてはバランスによって成り立っています。
犬の体は内臓・骨・血液から被毛の1本1本まで、すべて飼い主さんが選んだ食べ物から作られていることを忘れるべきではありません。
今後の愛犬の健康にお役立て頂ければ幸いです。
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与え方:腸内リセットレシピ参照
賞味期限:開封後10日以内にお使いください。
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