奈良県|8歳ヨークシャーテリア|リンパ管拡張症で低脂肪食を食べない…アルブミン1.6、痩せ続けた犬の無料相談事例

今回ご紹介するのは、奈良県にお住まいの飼い主様からいただいた無料相談です。
愛犬は8歳のヨークシャーテリア、女の子。
以前は3.3kgほどあった体重が、相談をいただいた時には2.7kg前後まで減っていました。
血液検査ではアルブミンが最初に低いと言われた時は2.1。
その後1.8となり、今回の検査では1.6。
病院ではリンパ管拡張症を伴う蛋白漏出性腸症の可能性を説明され、低脂肪の療法食を続けるように言われていました。
飼い主様も、
「病気のためなら、きちんと低脂肪食を食べさせなければ」
と思い、病院ですすめられた療法食を一生懸命与えていました。
しかし、一番困ったのは、その愛犬が療法食をほとんど食べてくれなかったことです。
最初の数日は何とか食べていた。
ところが徐々に食べる量が減っていく。
器のところまでは来る。
においを嗅ぐ。
一口、二口食べる。
そして離れてしまう。
飼い主様が手に乗せると少し食べる日もあります。
でも、必要だと言われている量には到底届きません。
その間にも体重は少しずつ減っていきました。
相談のお電話で最初に言われたのは、
「先生からは低脂肪食以外は与えないようにと言われています。でも、その低脂肪食を食べないんです」
という言葉でした。
続けて、
「病気のために療法食を守らないといけないのは分かっています。でも、このまま食べなかったら、もっと痩せてしまいますよね」
「何を食べさせたらいいのか、もう分からなくなりました」
と話されました。
今回の相談で一番大きかったのは、
低脂肪食を守ることと、愛犬に食べてもらうことの間で、飼い主様が完全に身動きできなくなっていたこと
でした。
目次
「食べさせたい。でも病気を悪くするものは与えたくない」
飼い主様は、療法食を食べなくなった愛犬を見て、いろいろ試していました。
少しふやかす。
手から食べさせる。
器を変える。
時間を置いてもう一度出す。
それでも食べない。
そこで、以前好きだった鶏肉を少し乗せてみると、それなら食べたそうです。
でも食べた後で、
「リンパ管拡張症なのに、こんなものをあげて大丈夫だったのかな」
と怖くなる。
翌日はトッピングをやめる。
するとまた食べない。
「食べない方がいいのか、少しでも食べるものをあげる方がいいのか分からなくなりました」
飼い主様はそうおっしゃいました。
この気持ちは、同じ病気を抱える犬の飼い主様なら、非常に共感されるのではないでしょうか。
リンパ管拡張症では、腸のリンパ管からたんぱく質が失われることがあり、脂肪吸収に関係するリンパの流れを減らす目的で低脂肪食が重要になります。実際、蛋白漏出性腸症では低脂肪食が優先され、リンパ管拡張症では消化しやすくエネルギー密度も確保した食事が求められます。
ですから、
「低脂肪食なんて気にしなくていいですよ」
という話ではありません。
必要な食事療法は、主治医と相談しながら続ける必要があります。
でも同時に、
食べられずに体重が落ち続けていることも無視できません。
慢性腸症の治療目標には、下痢や嘔吐を減らすことだけでなく、食欲を保ち、体重を増やすことも含まれます。
今回の相談では、この二つを対立させないところから始めました。
3.3kgから2.7kgへ。「小型犬だから少し」と思っていた体重減少
体重について伺うと、飼い主様は、
「600gくらいです」
とおっしゃいました。
数字だけ見ると、小さく感じるかもしれません。
でも3.3kgだった犬が2.7kgまで減ったということは、その子にとってはかなり大きな変化です。
しかも、体重だけではありませんでした。
背中を触ると骨が分かりやすくなった。
後ろ脚が細くなった。
抱っこすると以前より軽い。
顔周りも少し細く見える。
飼い主様自身も気づいていました。
それでも、
「病院から言われた食事を守る方が先だと思っていました」
と話されました。
私は、
「療法食を守ることと、この子が実際に一日どれくらい食べられているかは、両方見た方がいいですね」
とお伝えしました。
食事の袋に書かれている量ではありません。
実際に口に入った量です。
朝に20g出して5gしか食べなかったなら、食べたのは5gです。
夜も同じなら、一日に入っている量はとても少なくなります。
これを数日続ければ、体重維持が難しくなることも考えなければなりません。
そこでまず、療法食を「出した量」ではなく「食べた量」で見るようにしました。
「今日は半分食べた」は、昨日より良いのか悪いのか
飼い主様に、
「一日にどれくらい食べていますか」
と伺うと、
「日によって違います。半分くらいの日もあれば、もう少し食べる日もあります」
というお返事でした。
これでは、なかなか流れが見えません。
そこで、毎食を細かく記録する必要はありませんが、
「今日は昨日より食べたのか」
「朝より夜の方が食べたのか」
「温めると食べるのか」
「最初から食べないのか、途中でやめるのか」
を見ることにしました。
今回の愛犬は、食欲そのものが完全になくなっているわけではありませんでした。
好きなものには反応します。
療法食のにおいを嗅いだ後に離れる。
ここが一つのポイントでした。
ただし、
「だったら好きなものを何でも与えればいい」
という話にはしません。
リンパ管拡張症では低脂肪食の管理が重要だからです。リンパ管拡張症では、低脂肪で消化しやすい食事が治療上重要とされています。
だから、
食べるか、病気を守るか
という二択ではなく、
病気に配慮しながら、この子が食べられる形を主治医と探す
という考え方へ切り替えました。
アルブミン1.6だけを見ると、飼い主様は食べさせることまで怖くなっていました
相談中、飼い主様は何度も、
「アルブミンが1.6なんです」
とおっしゃいました。
1.6という数値が頭から離れない。
何かを食べさせて便が悪くなったらどうしよう。
脂肪が少し多かったらどうしよう。
病気が悪化したら自分のせいではないか。
そう思うと、何を与えるにも怖くなっていたそうです。
私は、
「1.6という数字は大切です。ただ、この子の今を1.6だけで見ないようにしましょう」
とお伝えしました。
食欲。
体重。
便。
元気。
食べた量。
薬。
そしてアルブミン。
全部を一緒に見ます。
蛋白漏出性腸症ではアルブミンが重要な指標になりますが、慢性腸症の臨床評価では、食欲、便の状態や回数、体重減少、活動性なども一緒に評価されます。
「アルブミンが低いから、食べなくても療法食だけを出し続ける」
でもなく、
「痩せているから、何でも食べさせる」
でもありません。
その中間を探す必要があります。
便が悪くなるたびに、食事を変えていました
さらに話を聞くと、食事がかなり頻繁に変わっていたことも分かりました。
療法食を食べない。
別の低脂肪食を試す。
少し食べる。
翌日に便がやわらかくなる。
怖くなって元に戻す。
また食べない。
別のトッピングを試す。
この繰り返しでした。
飼い主様としては、
「何とか食べてほしい」
からこそ行っていたことです。
でも変える回数が多くなると、
どの食事の時に便が良かったのか。
何を食べた後に崩れたのか。
そもそも量の問題なのか。
食材の問題なのか。
分からなくなります。
そこで私は、
「いろいろ試す前に、今食べているものを一度整理しましょう」
とお話ししました。
病院で指示されている主食。
実際に食べた量。
追加したもの。
薬を飲ませるために使った食材。
その後の便。
これをつなげていきます。
食事療法は慢性腸症やPLEの重要な治療手段ですが、食事への反応を見るには、何を与えているかを把握することも重要です。
食べない低脂肪食を前に、毎回30分付き添っていました
今回、私が特に印象に残ったのが食事時間の話でした。
飼い主様は、愛犬が食べないため、一回の食事に30分以上付き添っていました。
一粒ずつ手から渡す。
口元へ持っていく。
少し食べたら褒める。
また食べなくなる。
別の場所へ移動する。
もう一度差し出す。
食べなければ、
「お願いだから食べて」
という気持ちになる。
食事のたびに、この繰り返しです。
飼い主様自身も疲れていました。
「ごはんの時間が怖くなってきました」
とおっしゃいました。
私は、この言葉がとても大切だと思いました。
病気になったのは愛犬です。
でも治療生活を送っているのは、飼い主様も同じです。
一日2回、毎回、
「食べるかな」
「また食べないかな」
と緊張する。
体重計に乗せるたびに減っている。
血液検査ではアルブミンが低い。
こうなると、食事は楽しい時間ではなくなります。
だからこそ、一度に完璧を求めるのではなく、
今日はどれくらい食べられたかを見る。
そこから始めました。
温度と水分を変えると、反応が少し違いました
食事について伺う中で、飼い主様から、
「温めた時の方が少し食べる気がします」
という話が出ました。
ここは大切にしました。
食事内容を勝手に大きく変えるのではなく、病院から指示された範囲内で、食べられる形を探す。
少量のぬるま湯を加える。
人肌程度に温める。
一回量を見直す。
こうした方法を主治医へ相談する材料にします。
ただし、何をどれだけ加えるか、食事回数をどうするか、療法食そのものを変更するかは、病状によって判断が変わります。
特にリンパ管拡張症では脂肪量の管理が重要ですから、自己判断で食材を次々に追加するのではなく、主治医と相談する必要があります。
私は、
「食べないから療法食をやめましょう」
とはお伝えしていません。
今の食事を、この子が食べられる方法はないか。
ここをまず考えました。
飼い主様には、食欲と元気を見てもらいました
相談後は役割をシンプルにしました。
飼い主様には、
食事の作り方と与え方。
そして愛犬の食欲と元気。
そこを見てもらいます。
今日は自分から食事場所へ来たか。
器を出した時に反応したか。
どのくらい食べたか。
食べた後は落ち着いているか。
散歩へ行きたがるか。
普段通り動けているか。
毎日一緒にいる飼い主様だから分かる部分です。
特別な検査ではありません。
でも、非常に大切な情報です。
うんちは坂田がLINEで一緒に確認する
便については、飼い主様だけで、
「今日は良いのかな」
「昨日より悪いのかな」
と悩まないようにしました。
写真をLINEで送っていただき、私も一緒に確認します。
便の形。
量。
回数。
前の日との違い。
そこを見ます。
食欲と元気は飼い主様。
うんちは私もLINEで確認する。
必要な診断と治療は動物病院。
この形で、二人三脚で様子を見ていきます。
ただし、これは診察の代わりではありません。
食欲が大きく落ちる、嘔吐が続く、水様便がひどくなる、腹水やむくみ、呼吸の異常、著しい元気消失などがあれば、病院への相談を優先します。
「今日は何グラム食べたか」だけでなく、「体にどう残ったか」を見る
相談を続ける中で、飼い主様の考え方が少し変わりました。
最初は、
「療法食を規定量食べさせなければ」
という気持ちが非常に強かった。
でも、その子が実際に食べられていない。
そして痩せている。
そこで、
食べた量。
便。
体重。
元気。
ここをつなげて見ます。
リンパ管拡張症では蛋白漏出や脂肪吸収の問題により、痩せている犬もいます。Merck Veterinary Manualでも、リンパ管拡張症の犬ではPLEによって低体重になることがあり、食事は低脂肪だけでなく、エネルギー密度があり消化しやすいことが望ましいとされています。
これは、
「カロリーの高いものを好きなだけ食べさせる」
という意味ではありません。
低脂肪という病気への条件を守りながら、必要な栄養をどう確保するのか。
そこを主治医と相談するということです。
「食べないなら仕方ない」とは思えませんでした
飼い主様が相談の途中で言われた言葉があります。
「先生から療法食を食べさせてくださいと言われても、この子が食べないんです。でも、食べないなら仕方ないとは思えなくて」
私はこの言葉が、今回の相談の中心だったと思います。
病院の指示は守りたい。
愛犬の病気を悪くしたくない。
でも、目の前で痩せていく。
肋骨が分かる。
後ろ脚が細くなる。
抱っこすると軽くなる。
その姿を見て、
「療法食だから仕方ない」
とは思えない。
飼い主様はずっと、その間で悩んでいました。
だから私は、
「どちらかを諦めるのではなく、この子に合う続け方を探しましょう」
とお話ししました。
相談後、食事時間の見方が少し変わりました
相談前は、
全部食べたか。
残したか。
それだけを見ていました。
相談後は、
自分から食べたか。
昨日より食欲があるか。
どの与え方なら食べやすそうか。
食べた後の便はどうか。
体重はどう動いているか。
を見るようになりました。
療法食を一回残したから失敗。
少し食べたから成功。
という二択ではありません。
何日かの流れを見る。
これだけでも飼い主様の気持ちは少し変わります。
「食べなかったらどうしよう」
だけではなく、
「今日は昨日より少し自分から食べました」
という変化も見つけられるようになります。
坂田が大切にしているのは「食欲を病気に合った形で生かすこと」
私は食欲を非常に大切に考えています。
ただし、
食欲があるなら何でも食べさせればいい、という意味ではありません。
特にリンパ管拡張症では低脂肪食が大切です。
だからこそ、
病気に必要な条件を守りながら、今ある食欲をどう生かすか。
そこを考えます。
ナノワン・リセットについても、リンパ管拡張症を治療する薬でも、療法食の代わりでもありません。
必要な食事療法と治療は病院で行います。
そのうえで、家庭での作り方を整え、食欲と元気を飼い主様に見てもらう。
便は私もLINEで一緒に見る。
一つずつ変化を確認する。
そのような形でサポートしています。
同じように「低脂肪食を食べない」と悩んでいる飼い主様へ
リンパ管拡張症と診断され、
「低脂肪食を食べさせてください」
と言われた。
でも食べない。
少しずつ痩せていく。
好きだったものを出せば食べる。
でも、
「これは脂肪が多いのでは」
と怖くなる。
結局また食べない療法食を出す。
愛犬は器から離れる。
飼い主様も落ち込む。
もし今、このような状態になっているなら、
「低脂肪食を守れているか」
だけでなく、
実際にどのくらい食べられているか
も確認してみてください。
そして体重を見てください。
背中や腰、後ろ脚を触ってください。
便を見てください。
食欲と元気も見てください。
食事療法を自己判断でやめる必要はありません。
反対に、食べないまま何週間も我慢させることだけが正解とも限りません。
どの食事なら病気に配慮しながら必要な栄養を確保できるのか。
食事形状を変えられるのか。
回数を変えられるのか。
別の低脂肪療法食を検討できるのか。
そこは主治医と相談してください。
今回の飼い主様も、無料相談で病気そのものがなくなったわけではありません。
アルブミン1.6がその場で上がったわけでもありません。
でも、
「食べない療法食を前に、どうしたらいいか分からない」
という状態から、
「病院と相談しながら、この子が食べられる方法を探し、その結果を見ていく」
という考え方に変わりました。
私は、そこが大切だと思っています。
療法食を守ること。
愛犬に食べてもらうこと。
どちらか一方を諦めるのではなく、
その子が病気と付き合いながら、食べて、体力を保ち、毎日を過ごせる方法を探していく。
それが、リンパ管拡張症の愛犬を支える飼い主様にとって、とても大切な食事との向き合い方だと私は考えています。


