愛知県|7歳フレンチブルドッグ|下痢止めをやめるとまた下痢…薬を繰り返していた犬の無料相談事例

今回ご紹介するのは、愛知県にお住まいの飼い主様からいただいた無料相談です。
愛犬は7歳のフレンチブルドッグ、男の子。体重は約11kg。
もともとお腹は少し弱い方で、以前から軟便になることはありました。
ただ、ここ半年ほどはそれまでとは少し違っていました。
下痢をする。
病院へ行く。
薬を飲む。
2日、3日すると便が固まってくる。
飼い主様も、
「これで治った」
と安心する。
ところが、薬を飲み終えて数日すると、また便がやわらかくなる。
最初は少し形が崩れる程度。
翌日には軟便。
その次の日には水分の多い下痢になる。
そして、また動物病院へ。
同じように薬をもらい、飲ませると落ち着く。
この繰り返しでした。
飼い主様が無料相談で最初におっしゃったのは、
「もう何回目か分からないんです」
という言葉でした。
「薬を飲んでいる間は本当にきれいな便になるんです。でも、やめるとまた下痢になります」
「そのたびに病院へ行って薬をもらっています」
「これって一生続けるしかないんでしょうか」
「薬が効いているのに、なぜ治らないのでしょうか」
下痢そのものも心配です。
しかし、それ以上に飼い主様を苦しめていたのは、
良くなったと思うたびに、また戻ってしまうこと
でした。
今回は、病名を説明する記事ではありません。
「薬を飲めば治る。でもやめると戻る」
その状態を何度も繰り返してきた飼い主様が、無料相談で何を整理し、そこから愛犬をどう見るようになったのか。
その経過をお伝えします。
目次
「薬が効くなら、病気も治っていると思っていました」
飼い主様にこれまでの経過を伺うと、最初に下痢がひどくなったのは約半年前でした。
一日に4回から5回。
朝は少し形があるものの、午後からはどんどんやわらかくなり、夜にはほとんど水のような便になったそうです。
そこで病院を受診。
薬を処方されました。
数日後には便が固まりました。
「こんなに早く治るんだ」
と安心したそうです。
ところが薬が終了して4日ほどすると、再び軟便。
その後また下痢。
病院へ行って薬を飲ませると、また良くなる。
この流れを数回繰り返していました。
飼い主様は、
「薬を飲んで便が固まったら、腸も治ったと思っていました」
とおっしゃいました。
これはとても自然だと思います。
目で見える症状が便だからです。
便が固まれば、
「治った」
と思います。
しかし、止瀉薬の中には便を固めたり腸の動きや分泌を調整したりして、症状を一時的に和らげるものがあります。薬によって便が改善しても、背景にある原因まで解決したとは限りません。
私は、
「下痢止めが悪いという話ではないんです。必要な時には薬で症状を落ち着かせることも大切です。ただ、何度も同じことを繰り返しているなら、“便が止まった後”も見てみましょう」
とお伝えしました。
一番大切だったのは「薬をやめた日」と「また崩れた日」でした
無料相談で、私は飼い主様に、
「薬をやめて何日後くらいに便が崩れますか」
と伺いました。
すると少し考えて、
「だいたい3日とか4日くらいだと思います」
とのことでした。
ここから、過去の経過をできる範囲で振り返りました。
薬を飲んでいる間は普通便。
終了後2日くらいはまだ大丈夫。
3日目から少しやわらかくなる。
4日目、5日目には軟便。
さらにそのまま進むと下痢。
そして病院へ。
このパターンが何度か繰り返されていました。
私は、
「“薬をやめると下痢になる”だけではなく、“やめて何日後にどう崩れるのか”まで見ると、主治医にも伝えやすくなります」
とお話ししました。
繰り返す下痢や慢性的な消化器症状では、食事反応性を含む慢性腸症など、背景に継続する問題がある場合があります。慢性腸症は、症状が慢性的あるいは間欠的に続くことがあり、診断には病歴や食事への反応なども重要になります。
だからこそ、今回も、
「下痢をした」
という一日だけではなく、
薬を始めた日から再発するまでの時間
を見ていくことにしました。
フードは変えていない。でも一日の食事は変わっていました
次に食事について確認しました。
飼い主様は、
「ごはんはずっと同じです」
とおっしゃいました。
しかし詳しく聞くと、少しずつ変化がありました。
下痢が落ち着くと食欲が強くなる。
かわいそうだから、ごはんを少し多めにする。
薬を飲ませるために、ささみやチーズなどで包む。
家族がおやつをあげる。
便が固くなると、
「もう大丈夫だろう」
と思って通常通りに戻す。
フードの商品名は同じです。
でも、一日に愛犬の体へ入っているものは同じではありませんでした。
私は、
「主食だけではなく、一日に口にするもの全部を見てみましょう」
とお伝えしました。
食事は慢性腸症の診断や管理で非常に重要で、食事変更だけで改善する犬もいます。また慢性腸症では、症状の再発が食事上の変化をきっかけに起こることもあります。
今回も、
「これが原因です」
と決めたわけではありません。
ただ、
「フードは変えていないから、食事は関係ない」
で止めるのではなく、
その子が一日に実際に何を食べているのかを整理しました。
朝は普通便でも、その日の最後まで見る
飼い主様は、
「調子がいい日は朝の便がきれいなんです」
とおっしゃいました。
しかし、その後を詳しく伺うと、
朝一番は普通便。
昼ごろは少しやわらかい。
夕方にもう一度すると、さらに崩れる。
という日もありました。
私は、
「朝の一回目だけで今日は良くなったと決めず、一日分を見てみましょう」
とお伝えしました。
下痢は便の水分だけではなく、頻度や排便時の様子なども消化器疾患を考える手がかりになります。
愛犬の場合も、
一回目。
二回目。
三回目。
それぞれを見ていくことにしました。
飼い主様からすると、これは少し意外だったそうです。
「朝に良い便が出たら、それで治っていると思っていました」
とおっしゃいました。
でも、一日の後半で崩れているなら、それもその日の便です。
私は、
一番良い便だけでも、一番悪い便だけでもなく、一日の流れを見る
ことが大切だと考えています。
無料相談では、薬をやめる話はしていません
ここは非常に大切です。
今回の飼い主様も、
「じゃあ、薬はもう飲ませない方がいいんでしょうか」
と心配されました。
私は、
「それは主治医の先生と相談してください。自己判断で薬をやめたり量を変えたりすることはしないでください」
とお伝えしました。
下痢止めを否定することが、今回の目的ではありません。
消化管の炎症が強い時などに、獣医師の判断で短期間の止瀉薬が使われる場合もあります。
問題は、
薬を使うことではなく、
薬で便が落ち着いた後に、何度も同じ下痢が戻っていること
です。
必要な薬は病院で使う。
その一方で家庭では、
食事。
食欲。
元気。
便。
再発までの日数。
これを見ていく。
今回の無料相談では、この役割を整理しました。
飼い主様には「食欲と元気」を見てもらいました
私は飼い主様に難しいことをお願いしていません。
一番見ていただきたいのは、
食欲と元気です。
ごはんの時間になると自分から来るか。
食べ始める勢いはいつもと同じか。
途中でやめないか。
散歩へ行きたがるか。
家の中で普段通り過ごせているか。
寝てばかりになっていないか。
これは毎日一緒にいる飼い主様だから分かります。
血液検査には出ない部分です。
「食欲あり」
という一言でも、
昨日より弱い。
途中で止まった。
朝は食べなかった。
そんな変化があります。
飼い主様には、そこを見てもらうことにしました。
うんちは坂田がLINEで確認しながら、一緒に見ていく
一方、便については、
「これって良くなっているのかな」
「昨日より悪いのかな」
と飼い主様自身では迷うことがあります。
そこで、うんちの状態については、写真をLINEで送っていただき、私も一緒に確認していく形にしました。
飼い主様には、食欲と元気。
私は、うんちの形や量、回数、前日からの変化。そこをLINEで一緒に見ます。
一人で、
「この便は大丈夫かな」
と毎日悩むのではなく、
飼い主様と私で二人三脚で様子を見ていく。
私はこの形を大切にしています。
ただし、これは病院の代わりではありません。
血便が増える、繰り返し吐く、食欲がなくなる、元気が落ちるなどの変化があれば、動物病院へ相談することが前提です。
「また下痢になった」ではなく、前回との違いが分かるようになった
少しずつ記録していくと、飼い主様自身の見方が変わってきました。
以前は、「また下痢です」だけでした。
しかし今度は、
「薬が終わって4日目です」
「朝は形があります」
「二回目から少しやわらかくなりました」
「食欲はあります」
「元気もいつも通りです」
と、状態を細かく伝えられるようになりました。
これだけでも全く違います。
病院へ行く時にも、
「薬をやめると下痢になります」
ではなく、
「薬終了後3日間は普通便で、4日目から軟便になり、5日目に下痢になりました」
と伝えることができます。
私はこれが大切だと思っています。
飼い主様しか持っていない情報です。
毎日の愛犬を見ているから分かる経過です。
「何の薬を飲んでいたのか」も整理しました
さらに飼い主様に確認すると、
「下痢止め」と思っていた薬の中に、整腸剤など複数の薬が含まれていました。
これは珍しいことではありません。
飼い主様からすれば、
「下痢の時にもらった薬」
なので、全部まとめて下痢止めだと思います。
しかし実際には、それぞれ役割が違います。
そこで、過去の薬袋や診療明細が残っていれば、一度確認して主治医に、
「これは何を目的に使っている薬ですか」
と聞いてみることもおすすめしました。
薬の目的が分かると、
なぜ便が変わったのかを考える材料が増えます。
また、何度も繰り返す慢性の下痢では、感染、寄生虫、食事、慢性腸症など複数の原因を考える必要があります。非感染性の消化管疾患でも、食事不耐性や慢性腸症、膵酵素の問題などさまざまな原因があります。
だからこそ、
同じ薬を毎回もらうことが悪い。
という話ではなく、
なぜ繰り返しているのかを、これまでの経過ごと主治医へ伝えること
が大切です。
相談前は、うんちを見るのが怖くなっていました
今回、私が印象に残ったのは、
「朝、うんちを見るのが怖いんです」
という飼い主様の言葉でした。
昨日まできれいな便だった。
今日も大丈夫だと思いたい。
ところが、少しやわらかい。
すると、
「また始まるかもしれない」
と思ってしまう。
さらに翌日崩れると、
「やっぱりまただ」
となる。
薬を飲ませれば治る。
でも、
「どうせまた戻るかもしれない」
という気持ちが残る。
この状態を何回も経験すると、飼い主様自身が疲れてしまいます。
相談では、
「今日の便だけで先のこと全部を決めなくていいですよ」
とお話ししました。
昨日との違い。
今日一日の流れ。
食欲。
元気。
薬が終わって何日目か。
一つずつ見ます。
私は、こうして情報を分けることで、飼い主様の不安も少し整理できると思っています。
「薬がなくても大丈夫な状態を目指したい」という気持ち
相談の終わり頃、飼い主様から、
「薬を否定したいわけじゃないんです。必要なら飲ませます。ただ、ずっとこれを繰り返すのが怖いんです」
というお話がありました。
私は、その気持ちが今回の相談の本当の部分だと思いました。
薬を飲ませたくないのではありません。
下痢を放置したいわけでもありません。
必要な治療は受けたい。
ただ、
「薬を飲む→治る→やめる→また下痢」
を何度も繰り返しているので、
「この先もずっと同じなのだろうか」
と不安だったのです。
そこで、
「今すぐ答えを決めるのではなく、この子がどんな時に崩れて、どんな時に安定するのかを一緒に見ていきましょう」
とお伝えしました。
坂田が大切にしているのは、薬の代わりを探すことではありません
ナノワン・リセットも、下痢止めの代わりとして使うものではありません。
病院で必要な薬は、主治医の指示に従います。
そのうえで、家庭では食事の作り方や与え方を整えます。
食欲と元気は飼い主様に見てもらう。
うんちは写真をLINEで送っていただき、私も一緒に確認する。
その子の小さな変化を、二人三脚で見ていく。
私はこの形を大切にしています。
良い便が一回出ただけで安心しきらない。
少し崩れただけで全部悪くなったとも考えない。
その間の変化を見ることです。
同じように「薬をやめるとまた下痢」で悩んでいる飼い主様へ
薬を飲んでいる間は良い便。
やめると数日後にまた下痢。
もう一度薬を飲む。
また便が固まる。
この繰り返しになると、
「この子は薬がないとうんちができないのでは」
と不安になると思います。
しかし、まずは、
いつ薬を始めたのか。
いつ便が良くなったのか。
いつ薬が終わったのか。
その何日後から崩れたのか。
崩れる前に食事やおやつに変化はなかったか。
その間の食欲や元気はどうだったか。
ここを整理してみてください。
そして、その記録を主治医へ伝えてください。
薬を自己判断でやめたり、残っている薬を勝手に再開したりするのではなく、
「同じことを何度も繰り返しています」
と経過ごと相談する。
それが大切です。
今回の飼い主様も、無料相談で病気が診断されたわけではありません。
薬がその場で不要になったわけでもありません。
でも、
「また下痢した」
だけだったものが、
「薬終了後何日目で、どういう順番で便が変わったか」
へ変わりました。
食欲と元気は飼い主様が見る。
うんちは私もLINEで一緒に見る。
必要な治療は病院で受ける。
それぞれの役割を分けることで、
「また下痢になったらどうしよう」
という漠然とした不安から、
「今はここを見よう」
という具体的な見方へ変わっていきました。
私は、下痢を繰り返す愛犬を見る時、
便を一度固めることだけではなく、
その良い便を薬が終わった後も、どう維持していけるのか
そこまで見ていくことが大切だと考えています。


