犬は下痢がないのにアルブミンが低いのはなぜ?考えられる原因と見逃したくない体の変化

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健康診断や別の症状で血液検査を受けた際に、獣医師から、

 

「アルブミンの数値が低くなっています」

 

と説明された。

 

しかし、愛犬には下痢も軟便もなく、食欲も元気もある。

 

このような場合、多くの飼い主様は、

 

「便は普通なのに、本当に腸が悪いのでしょうか」

「元気に食べているのに、なぜアルブミンが低いのですか」

「数値だけを見て、すぐ治療を始める必要があるのでしょうか」

 

と戸惑われると思います。

 

犬のアルブミン低下というと、蛋白漏出性腸症やリンパ管拡張症など、腸の病気を連想する方が多いかもしれません。

 

確かに、腸からたんぱく質が失われることでアルブミンが低下することはあります。

 

しかし、アルブミンが低くなる原因は腸だけではありません。

 

腎臓からたんぱく質が失われている場合、肝臓で十分に作れなくなっている場合、体の中で強い炎症が続いている場合など、複数の可能性があります。低アルブミン血症では、蛋白漏出性腸症、蛋白漏出性腎症、出血、重度の肝機能低下などを区別して考える必要があります。

 

私はこれまで14年間、犬のアルブミン低下、下痢、軟便、ステロイドの使用などについて、6,000件以上のご相談を受けてきました。

 

その中には、下痢がまったくないまま、血液検査でアルブミン低下が見つかった子も少なくありません。

 

今回の記事では、「下痢がないのに、なぜアルブミンが低いのか」という飼い主様の疑問に絞り、考えられる原因、見落としたくない変化、検査結果の見方、家庭で確認したいことをお伝えします。

1.下痢がなくても、腸からたんぱく質が失われることはある

 

まず知っていただきたいのは、腸に問題がある犬のすべてに、分かりやすい下痢が起こるわけではないということです。

 

犬の慢性腸症や蛋白漏出性腸症では、下痢、嘔吐、体重減少、食欲の変化などが見られることがあります。

 

しかし、その症状の出方には個体差があります。

 

便が毎日水のようになる子もいれば、便の形は保たれているものの、体重が少しずつ減る、食べているのに筋肉が落ちる、元気が続かないといった変化だけが先に表れる子もいます。

 

蛋白漏出性腸症では、アルブミンだけでなくグロブリンも低くなることが多いものの、アルブミンだけが低い場合でも完全には否定できません。

 

腸の粘膜からたんぱく質が失われていても、便の水分量が大きく変化しなければ、飼い主様には「普通の便」に見えることがあります。

 

また、一日一回きれいな形の便が出ていても、以前より便量が増えた、においが強くなった、色が薄くなったといった小さな変化が起きている場合があります。

 

そのため、「下痢をしていないから、腸には問題がない」とは言い切れません。

 

ただし、反対に「アルブミンが低いから、必ず腸の病気である」と決めつけることもできません。

 

アルブミン低下の原因を考える際は、便の状態だけでなく、尿検査、肝臓の状態、炎症、食事、体重などを含めて確認する必要があります。

 

2.アルブミン低下の原因は、腸だけではない

 

アルブミンは、主に肝臓で作られるたんぱく質です。

 

血管内に水分を保つ働きや、さまざまな物質を運ぶ働きがあります。

 

そのため、アルブミンの数値が低くなる背景は、大きく分けて、

 

体の中で十分に作れない。

腸や腎臓などから失われている。

炎症などによって分布や代謝が変化している。

出血などによって体外へ失われている。

 

という形で考えられます。

 

腎臓の糸球体に問題があると、本来は血液中に残るはずのたんぱく質が尿中へ漏れます。

 

この場合、下痢はなくてもアルブミンが低下する可能性があります。

 

そのため、血液検査だけでなく、尿たんぱくや尿たんぱく・クレアチニン比などを調べることが重要になります。

 

肝臓についても同様です。

 

アルブミンは肝臓で作られるため、重度の肝機能低下では産生量が減る可能性があります。

 

ただし、肝臓の数値が少し高いというだけで、すぐに肝臓が原因と判断できるわけではありません。

 

肝疾患でアルブミン低下が見られる場合でも、全身性の炎症や腸・腎臓からの喪失を除外する必要があります。

 

さらに、体の中で炎症が続いている場合にも、アルブミンが低下することがあります。

 

アルブミンは炎症の影響を受けるたんぱく質であり、慢性的な炎症では、産生、分布、分解のバランスが変化します。

 

したがって、アルブミンが低いという結果だけを見て、

 

「腸から漏れている」

「肝臓が作れていない」

 

と一つに決めることはできません。

 

まずは、どこから失われている可能性が高いのか、作る力に問題がないか、炎症の影響がないかを整理する必要があります。

 

3.便が普通でも確認したい、見落とされやすい変化

 

飼い主様が「症状はありません」とお話しされる子でも、詳しく伺うと、以前とは違う変化が見つかることがあります。

 

特に確認していただきたいのが、食欲、体重、筋肉、元気、水分、お腹や脚の見た目です。

 

食欲があることは、体が食事を受け入れようとしている大切なサインです。

 

ただし、食欲があることと、食べた栄養を十分に吸収できていることは同じではありません。

 

毎日きちんと食べているのに体重が落ちている。

背骨や腰骨が以前より触れやすくなった。

後ろ脚や腰回りの筋肉が細くなった。

散歩の途中で疲れるようになった。

 

このような変化がある場合、食事量だけでなく、消化吸収やたんぱく質の喪失について確認する必要があります。

 

また、アルブミンが大きく低下すると、血管内に水分を保ちにくくなり、お腹や胸、脚などに液体がたまる場合があります。

 

お腹が膨らんできた時に、「太った」「食欲があるから体重が増えた」と思っていたら、実際には腹水だったということもあります。

 

肝疾患などによる門脈圧亢進や低アルブミン血症では、腹水が見られる可能性があります。

 

次のような変化がないか、改めて確認してみてください。

 

食べているのに体重が減っていないか。

以前より筋肉が落ちていないか。

お腹だけが不自然に膨らんでいないか。

脚や胸の下がむくんでいないか。

呼吸が速くなっていないか。

水を飲む量や尿の量が変わっていないか。

嘔吐や食べむらが増えていないか。

 

便の形が良いか悪いかだけでは、体の状態すべてを判断できません。

 

「下痢がない」という事実だけで安心するのではなく、愛犬全体の変化を見ることが大切です。

 

4.アルブミンの数値だけでなく、変化の流れを見る

 

アルブミン低下を指摘された際に、飼い主様が最も気にされるのは数値だと思います。

 

前回は2.5だった。

今回は2.1に下がった。

薬を始めたら2.3に上がった。

 

このような数値の変化は、確かに重要です。

 

しかし、一回の検査結果だけで、すべてを判断することはできません。

 

検査機器や測定条件、脱水、水分状態などによっても、数値の見え方が変わる場合があります。

 

脱水では血液が濃縮され、アルブミンが高めに見えることがあります。反対に、水分状態や全身状態の変化によって低く見える場合もあるため、総たんぱく、グロブリン、コレステロール、肝臓・腎臓の数値、尿検査などを合わせて見ることが重要です。

 

特に確認したいのは、

 

アルブミンだけが低いのか。

総たんぱくやグロブリンも低いのか。

コレステロールやカルシウムに変化がないか。

尿にたんぱく質が漏れていないか。

肝臓の機能を示す検査に問題がないか。

炎症を示す変化がないか。

超音波検査で腸壁やリンパ節に変化がないか。

 

という点です。

 

また、数値と一緒に、食欲、体重、元気、便、薬の内容を記録してください。

 

「アルブミンは少し下がったが、食欲と体重は安定している」

「便は普通だが、数か月で体重が減っている」

「ステロイドを始めて食欲は増えたが、数値は上がっていない」

 

同じアルブミン低下でも、状況によって考えるべきことは異なります。

 

私は、数値だけで愛犬を見るのではなく、数値と実際の体の状態を一緒に見ることが大切だと考えています。

 

下痢がない時ほど、体全体を丁寧に見る

 

犬のアルブミン低下は、必ずしも下痢と一緒に起こるわけではありません。

 

便が普通で、食欲も元気もある状態で、血液検査から初めて見つかることもあります。

 

しかし、下痢がないからといって、腸からのたんぱく質喪失を完全に否定することはできません。

 

一方で、アルブミン低下の原因は腸だけではなく、腎臓、肝臓、炎症、出血なども考える必要があります。

 

だからこそ大切なのは、最初から病名を一つに決めつけないことです。

 

下痢があるか、ないか。

食欲があるか、ないか。

体重を維持できているか。

尿にたんぱく質が漏れていないか。

肝臓の機能に問題がないか。

数値がどのように変化しているか。

 

一つずつ整理しながら、今の愛犬の状態を確認してください。

 

ナノワン・リセットでも、アルブミンの数値だけを見て進め方を決めることはありません。

 

食欲があるか。

食べたものを受け止められているか。

便として出せているか。

体重や体力が保たれているか。

薬を始めてから何が変わったか。

 

こうした点を整理したうえで、その子に合った家庭でのケアを考えていきます。

 

愛犬が元気に見える時ほど、飼い主様は「まだ大丈夫」と思われるかもしれません。

 

しかし、元気や食欲がある今だからこそ、慌てずに原因を整理し、体力があるうちにできることを始められます。

 

「下痢がないのに、なぜアルブミンが低いのだろう」

 

その疑問を曖昧なままにせず、検査結果と愛犬の毎日の状態を照らし合わせてみてください。

 

それが、必要な治療や家庭でのケアを考える第一歩になると、私は考えています。

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この記事を書いた人

坂田剛

これまでに6,000人以上の飼い主様からご相談をいただき、現在も日々ご相談をお受けしています。下痢・軟便・アルブミン低下など、繰り返す不調の多くは「原因の見極め」で方向性が変わります。ご相談はすべて、坂田が直接対応しています。今の状態を一緒に整理し、今日からできる具体的な対策をお伝えしています。

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